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「浄?ちょっといい?」
「うん。」
「ごはんはどうする?」
「いらない。」
「寝れてるの?」
「寝てる場合じゃない。」
暗い部屋で、淡々と会話が進む。
テントにはまた、たくさんのタオルケットや毛布が掛け直してある。
浄、また掛け直したんだ。
そんな事を考えながら私はそーっとテントを覗いてみる。
ああ。ついに涙がこぼれてきた。
そこにいる浄は、誰がどう見ても精神病者だった。
痩せた顔に出っ張った骨、青紫色の皮膚に覆われた目はゾンビのように今にも飛び出そうだった。
あぐらをかいて背中を丸くして、食い入るように何かを覗き込んでいる。
浄は不気味なオーラを放ちながら、ひたすら雑誌に小さなライトを当て、そのライトを飛び出しそうな目で食い入るように見つめる。
そして何かを呟く。
「くそー。あとちょっと。確かにここにいるはず。」
何してるの?そう尋ねると浄は答えた。
「うん。この本の中にあいつが隠れてる。この前からずっと、俺を監視してる光が。あかり、ドア閉めろ!外の光が俺を見つけると、この本の中の光に通報される!」
そう叫びながら、何かを突き止めようと必死に雑誌を見つめる。光の角度や顔の向きを変えながら何度も何度も。
浄の右側には、雑誌が山積みされている。
浄は何かに取り憑かれた。
私は余りの奇行にそう思うしかなかった。