昨夜の雨風は、けっこうなものだった。
ご近所の川は、しぶきをあげて水が流れる。
あと丸一日は、こんなふうだろう。
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「こういう朝は、面倒くさいわ。」
わかる。
散歩道に、花だの葉っぱだの小枝だの、雨風で落ちたものがぬれたままアスファルトにへばりついていた。
少し天気が回復して道路が乾いたら、飼い主はボクんちへの私道を掃いた方がいいだろう。
「うちは、後回しだ。」
そうか。
実家の方が優先だ。
ボクんちは、一般道路から引っ込んでいるから、私道がゴミだらけでも近所迷惑にはならないが、実家の方は、公共の道路に接しているから、ある程度は片付けないと気掛かりだ。
実際、去年の秋、暴風雨のあとに、近所の人が実家側の道路沿いも掃除してくれているところに出会い、飼い主は、慌ててお礼を言って作業を引き継ぎ、嵐の後始末をした。
飼い主は一年中、色々気にしながら見回っていて、周りに迷惑にならないようにしているのだが、田舎のご近所さんは、気がついたことにはたやすく手を貸してくれるのだ。
今朝は、実家に行ってみると、やはり玄関先や市道に接するところに、葉っぱなどがたまっていた。
飼い主が掃き掃除をしていると、近所のおばさんがわざわざやってくる。
「誰かと思ったら。
やっぱり○ちゃん。
大変、大変。
自分ちのこと以外に、ここへ来ても同じように掃除するずら?」
などと、大変大変を繰り返して、飼い主のそばに立っている。
飼い主にしてみれば、これも実家の管理のひとつだし、慣れていることだから、ときに面倒ではあっても、ことさら大変だとは思わないのだが。
むしろ、嵐のあと何もしないで、近隣にため息をつかせる方が、飼い主には大変なのだ。
おばさんは、何度も何度も大変と繰り返して、そのうち飼い主が建物の端まで掃いたところで、ようやく離れて行った。
飼い主は、続いて玄関周りをきれいにする。
「あ、そうだ、大変だ。
うちから大きいごみ取りを持って来なかった。
さっきは壊れたカゴに葉っぱを入れたからいいけど、やっぱり実家用のがあった方がいい。」
そして雨上がりは、ボクのトイレがてら、必ず公園に行く。
公園のバラは、思ったより持ちこたえていた。