ご近所に、いつも庭を綺麗にしているお宅がある。

道路沿いで目立つからでもあるだろうが、余計な草や落ち葉やゴミ一つなく、とにかくきちんとしている。

引っ込んだところにあるボクんちは、飼い主が「どうせ誰も見ないから」と、雑多な植物を放置していて、えらい違いだ。



もっと大きな違いもある。

ここの奥様はお花好きで、特に薔薇を咲かせるのが上手だ。

ちょうど今、この家の玄関先に色とりどりの薔薇が咲き誇り、ボクのお散歩の特別な楽しみになっている。
















飼い主には、薔薇ということしかわからないがぼけー、どの花も見事というべきだろう。

「花屋さんで買ったら、一輪何百円もするんだろうな。」



このような貴重な花々を、通りすがりに鑑賞できるのはありがたいことだ。

他人が丹精して咲かせた作品を、無料のギャラリーで見せてもらえるのだから。



飼い主には、薔薇に精通する友人がいて、こちらも毎年、様々な花を咲かせていて、飼い主は感服するばかりだ。

ボクんちみたいに標高が高いところではないので、薔薇の時季は少し早く、ゴールデンウィーク

前後には【お花見の誘い】があるのだが、ご近所というわけではないので、なかなか出掛けられず今年も見送ってしまった。

しかしたまに、飼い主がちょっと立ち寄る機会があると、庭の花を切ってくれる。

丹精したものだと知っているから、飼い主は恐縮していただく。



花の名前は、聞いてもすぐ忘れる飼い主だ。

薔薇の名前も、よほど印象的でなければ記憶に残らない。

申し訳ないなあ、ボクが代わりに謝るよ。



今朝、くだんの奥様とお散歩で会った。

あちらも、朝夕犬の散歩が日課だ。

おはようございます、の後に、飼い主が薔薇の写真を撮らせて欲しいと頼み、快諾を得て撮ったものだが、一つすごく気になる薔薇があり。







実物は、写真よりも紫に近い。

名前を尋ねると、「しのぶれど」という和名があるのだという。

覚えやすい、素敵な名前❕

なんでも、息子さんの結婚式をした箱根のホテルの庭にあり、一目惚れしたそうな。

飼い主は、ますます気に入った。



朝からピュアな気持ちになって家に向かいながらも、飼い主は一つ残念なことを思い出していた。



先月、新入の県庁職員に、【あなた方は、毎日野菜を売ったり牛の世話をしたりするのとは違い‥‥】などと、職業差別ともとれる不適切発言をして先ごろ辞職した、川勝知事のことだ。

  


「花でも野菜でも牛でも。

心を込めて育てることを、丹精という。

丹誠という漢字もある。

川勝さんは、この言葉を知らなかったんだろうか。



人、産業、静岡にある全てのものを育てる。

丹精込めて県政にあたってもらいたいものだ。





静岡県知事選挙は、明日だ。