飼い主は、17日にお参りに行く神社へ。



朝のうちぐずついていた天気は、9時を過ぎたら見る間に回復し、飼い主が鳥居をくぐった頃には、木漏れ日が眩しかった。






春うらら
鳥居の前で
帽子取り
願いと感謝
携えて朝




池が汚れているのではなく、朝方の雨が散りばめた、桜の花びら。
投げ込まれたコインのようだ。





寺院などなら浄財となる花のコインだが、飼い主の場合は、浄罪という文字がうかぶ。ぶー




こちらの水面に写るのは、穏やかな空と雲。
その上に重なる花びらが、今度はソーダ水の泡のよう。




いつもは足を止めない石碑。
昭和3年に、石段を造ったと読み取れる。
約100年前か。




ここからは
顔あげのぼる
100年の
石段の先
近くなる神




飼い主は、清々しい気持ちでお参りをすませた。


社務所にはいつでもこの地区の人が詰めているが、17日は例祭の日なので人が増えている。
窓口で、新たな大きなお願いのための新たなお札を1枚求める。
今日は、おみくじは引かない。
「さっき神様にお祈りをした。
おみくじの文言が神様のお返事ではないし、文言によって、神様が何かを変えることはないと信じているから。」


お札を受けとると、お赤飯をどうぞ、と言われる。
17日には、参拝者に振る舞われるのだ。
飼い主も、心尽くしの【ごふく】を一ついただく。
作りたてなのだろう、まだ湯気が残っていそうな温かさだ。





「今日は、麗らかな日だ。
麗らかと思えることが幸せなんだな。
神社へ足を運ぶことは、自らの意思そのもの。
こんな春うららの日に、自分で運転して来られるだけでも、ありがたいことだ。」



飼い主は、もう一度歌を詠む。



春うらら
鳥居をあとに
帽子付け
手にある御福
温かな朝





飼い主は、ボクが待つ車に戻ってきた。



うらうらと。
ボクが眠るさまも、春うらら。