ここは、高速道路のサービスエリアに付帯する施設だ。

外から入れる。

久しぶりに来たなあ。





ドッグランに近づいた。
中にいる黒柴の女の子が、歯を剥き出しにして、金網ごしにボクに吠えまくる。


飼い主は、その子のオーナーがリードを付けるまで、入らずに待っていた。



ボクは、こちらからは一切吠えもせず攻撃姿勢も見せず。



ドッグランに入ったボク。
これにはボクしか写っていないが、小さな洋犬たちで、けっこう混んでいる。



チビたちは、せわしなく走り回っていて、ボクのようにじっとしていないから、なかなか写真に撮れないんだ。ぶー





「ドッグランで、静止写真を撮れる方が、普通じゃない。」
飼い主はそう言うが、チビにまとわりつかれたら振り払うのも可愛そうだし、近づくなオーラを出してボクは我慢しているんだ。
それでなくても柴は、こういう場所では敬遠される。
犬ではなく、犬のオーナーにだ。
ちいちゃな犬に慣れている人には、柴はどこかしら、危ない敵なのかもしれない。
飼い主は、万一を考えて、リードを付けたまま、金網沿いに歩くだけにする。


ボクは、走らない。
ボクは、興奮しない。


「何のことはない、伊太郎は、他の犬には興味がないというより、遊び方を知らんのだ。」
いやいや。
ボクは、柴を代表して、賢く穏やかで凛々しい柴がいるという宣伝を引き受けているんだ。



いかにも都会から来ましたふうの、可愛い服を着た小さな子たち。
誰も、柴犬には関心を見せない。





ときどき、ボクは飼い主と一周歩いて、そしてまたおとなしく見学している。




飼い主も椅子に座り、ボクのリードを握ったままだ。
「ウチの子はちゃんとしてるから大丈夫と思い込んで、犬を放つ人は多い。
チビちゃんならそう心配ないが、柴以上の大きい子は、やはり恐い。」
これは、チビちゃんのオーナーと同じ心理だ。



チビたちは、ここぞとばかり走りまくっている。




と、そのとき❗



あれは、少し前に入って来た大型犬。


 


黒い犬が、ボクを目指して走って来た❗






「キャア❗」






ガウガウガウ❗❗





飼い主が、とっさに席を立ってボクを引いた。





黒い犬のオーナーが、犬のハーネスに手をかけて引き離した。









無事だった。




怪我もなく、ボクと飼い主はドッグランを出ようとして。


「イタロー❗」
と呼ばれた気がした。


見たら、焦げ茶色のトイプードルが呼ばれていた。


良く聞くと、「コタロウ」だとわかった。





「日曜日は、犬の数が多いから油断できないわ。
まあ、誰もいない日に来ても、伊太郎が走り回るわけじゃないが。」ぼけー




遠目にドッグランを眺めて、ボクは30分あまりの滞在を終えた。




疲れた。