「また、英語だわ。不愉快だ」






飼い主が見ているのは、今朝の新聞にあった広告。







ああ、なるほど。

【トレーサビリティ】の部分だな。

「トレーサビリティシステム導入済製品」とある。

飼い主は元英語教員だが、よく分からない。

「マスクとどんな関係があるのか」





スマホで「トレーサ」まで入力しようとすると、予測変換で「トレーサビリティ」が出るから、そんなに稀有な単語ではないのだろう。





飼い主は言う。

「既にこの単語を知っている人には、すんなり【単語の意味だけはわかる】ものだ。だが、この場面で使われることの意義が分かって初めて、理解したことになる。みんな、分かるのだろうか」






みんな、分からない、というか、そんなとこ見ないと思いますよ。

見ても、深く考えません。






「こういうのは、ホントに嫌だ。やたら英語を使ってさ。何だろうと思って調べようとして、まず綴りを推測」





飼い主は、だいたいは予測がつく。

「trace=追跡する、 ability=能力  の2つの語が合わさってできている。だから…」





確かめないと気がすまない飼い主は、電子辞書で確認する。
ボクは、何でもスマホ検索派だけどね。
綴りを推測する必要もない。
最初から親切にカタカナで示されているのだから、何の苦労もない。
だが飼い主は、イチイチ苦労する派だ。



 


「この辞書に、カタカナでそのままトレーサビリティという意味で載っているということは、広くあまねく使われ、周知されているのか。だとしたら、この広告が初対面の私は、教養不足の世間知らずではないのか」




まあ、分野によっては、一般人に用のない単語があるわけで、そこは落胆する必要はないと思いますよ。








「広告には、いつも思うんだ。英語を使ったら、きちんと意味を含む意図を書いて欲しい。いや、広告に限らず、政府、国会議員のコメントもそう。カタカナで終わりにしてしまっていいのか?と思える単語もかなり目につく」




飼い主は、目につくカタカナを使う人物が鼻につくのだろう。
自分が忘れている語の時は特に。




だが、飼い主の不愉快にも一理ある。
なるべく日本語にした方がいい言葉も、実際その場では英語のまま「言葉の垂れ流し」になることがあるから。






不意に飼い主が言う。
「そうよ、伊太郎。新聞だけざっと見ても、これだけ目につく。全部正しくわかるか?」




・フィクサー
・ガバナンス
・データサイエンス
・サウンドジェネレーター
・アーティスティック
・ファンドラップ


さあて、
飼い主!

チッコに行きましょうよ!