生命保険協会発行、「裁定概要集」令和5年度第1四半期です。

 

 

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[事案2021-330]新契約無効請求 ・令和5年4月10日 和解成立

 ※本事案の申立人は、[事案2021-331]の申立人の親である。

 <事案の概要> 募集人の説明不足を理由に、契約の無効を求めて申立てのあったもの。 

<申立人の主張> 令和元年5月に契約した変額保険について、募集人は、運用リスクに関する十分な説明を行 わず、たまたま景気が安定していた期間に運用がうまくいっていた顧客の運用実績を強調し、 マイナスになることはなく、利回りは6.0%を切らないと誤信させたことから、契約を無効と し、既払込保険料を返還してほしい。 

<保険会社の主張> 募集人は、申立人に対して、確実に6.0%の利回りで運用されるとの断定的な説明はしてお らず、設計書の「特別勘定資産の運用実績例表」を用いて、運用実績が-3.0%、0.0%、3.0%、 6.0%の場合について、いずれも契約後の年数に応じた解約返戻金の推移を指で示しながら説 明していることから、申立人の請求に応じることはできない。

 <裁定の概要>

 1.裁定手続 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約時の状況等を把握する ため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。

 2.裁定結果 上記手続の結果、募集人の説明不足は認められないが、以下の理由により、本件は和解によ り解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したと ころ、同意が得られたので、手続を終了した。

 (1)募集人は、事情聴取において、募集資料として保険会社所定以外の資料を用いる場合には 保険会社の許可が必要となる旨陳述しているところ、本契約の説明に際して、保険会社の 許可なく、複数の既契約者の運用実績のデータを申立人に示しており、また、募集代理店 が作成した資料を用いてドルコスト平均法の投資方法を説明した。

 (2)募集人が、このような私製資料を用いた説明を行ったことにより、本契約の運用に関し、 申立人を混乱させ、実際よりも良い利回りで運用されるとの期待をもたせてしまった可能 性は否定できない。