国際課税

  • グローバル・ミニマム課税への対応

    • 令和5年度税制改正で法制化した所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)について、経済協力開発機構(OECD)によるガイダンスや国際的な議論の内容を踏まえた制度の明確化等の観点からの見直しを行う。

  • 非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度の整備等

    • OECDにおいて策定された暗号資産等報告枠組み(CARF:Crypto-Asset Reporting Framework)に基づき、租税条約等により各国税務当局と自動的に交換するため、国内の暗号資産取引業者等に対し非居住者の暗号資産に係る取引情報等を税務当局に報告することを義務付ける制度を整備する。

納税環境整備

  • GビズIDとの連携によるe-Taxの利便性の向上

    • 法人が、GビズID(一定の認証レベルを有するものに限る。)を用いてe-Taxにより申請等を行う場合には、その申請等を行う際の電子署名等を要しないこととする。

  • 更正の請求に係る隠蔽・仮装行為に対する重加算税制度の整備

    • 隠蔽・仮装された事実に基づき更正請求書を提出していた場合を重加算税の適用対象に加える。

  • 不正申告を行った株式会社の役員等に対する徴収手続の整備

    • 偽りその他不正の行為により国税を免れた株式会社の役員等(株式会社の発行済株式の50%超を有し、偽りその他不正の行為をした者等に限る。)は、株式会社等から徴収不足となるときに限り、株式会社等から移転した一定の財産の価額を限度として、その国税の第二次納税義務を負うこととする。

  • 地方公金に係るeLTAX経由での納付

    • eLTAX(地方税のオンライン手続のためのシステム)を通じた電子納付の対象に地方税以外の地方公金を追加することとし、地方税共同機構の業務に公金収納事務を追加する。

関税

  • 暫定税率等の適用期限の延長等

    • 令和5年度末に適用期限の到来する暫定税率(411品目)の適用期限を1年延長する等の措置を講ずる。

  • 輸入手続の利便性向上

    • 特例輸入者による特例申告の納期限延長において必須とされている担保について、関税の保全のために必要があると認められる場合にのみ提供を求めることとする。

Ⅱ扶養控除等の見直し

児童手当については、所得制限が撤廃されるとともに、支給期間について高校生年代まで延長されることとなる。

これを踏まえ、16歳から18歳までの扶養控除について、15歳以下の取扱いとのバランスを踏まえつつ、高校生年代は子育て世帯において教育費等の支出がかさむ時期であることに鑑み、現行の一般部分(国税38万円、地方税33万円)に代えて、かつて高校実質無償化に伴い廃止された特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分(国税25万円、地方税12万円)を復元し、高校生年代に支給される児童手当と合わせ、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充しつつ、所得階層間の支援の平準化を図ることを目指す。

さらに、扶養控除の見直しにより、課税総所得金額や税額等が変化することで、所得税又は個人住民税におけるこれらの金額等を活用している社会保障制度や教育等の給付や負担の水準に関して不利益が生じないよう、当該制度等の所管府省において適切な措置を講じるとともに、独自に事業を実施している地方公共団体においても適切な措置が講じられるようにする必要がある。

具体的には、各府省庁において、今回の扶養控除の見直しにより影響を受ける所管制度等を網羅的に把握し、課税総所得金額や税額等が変化することによる各制度上の不利益が生じないよう適切な対応を行うとともに、各地方公共団体において独自に実施している事業についても同様に適切な対応を行うよう周知するなど所要の対応を行う必要がある。

扶養控除の見直しについては、令和7年度税制改正において、これらの状況等を確認することを前提に、令和6年10月からの児童手当の支給期間の延長が満年度化した後の令和8年分以降の所得税と令和9年度分以降の個人住民税の適用について結論を得る。

ひとり親控除について、とりわけ困難な境遇に置かれているひとり親の自立支援を進める観点から、対象となるひとり親の所得要件について、現行の合計所得金額500万円以下を1,000万円以下に引き上げる。

また、ひとり親の子育てにかかる負担の状況を踏まえ、ひとり親控除の所得税の控除額について、現行の35万円を38万円に引き上げる。合わせて、個人住民税の控除額について、現行の30万円を33万円に引き上げる。

こうした見直しについて、令和8年分以降の所得税と令和9年度分以降の個人住民税の適用について扶養控除の見直しと合わせて結論を得る。

Ⅲ防衛力強化に係る財源確保のための税制措置

防衛力強化に係る財源確保のための税制措置については、令和5年度税制改正大綱に則って取り組む。なお、たばこ税については、加熱式たばこと紙巻たばことの間で税負担の不公平が生じている。同種・同等のものには同様の負担を求める消費課税の基本的考え方に沿って税負担差を解消することとし、この課税の適正化による増収を防衛財源に活用する。その上で、国税のたばこ税率を引き上げることとし、課税の適正化による増収と合わせ、3円/1本相当の財源を確保することとする。

あわせて、令和5年度税制改正大綱及び上記の基本的方向性により検討を加え、その結果に基づいて適当な時期に必要な法制上の措置を講ずる趣旨を令和6年度の税制改正に関する法律の附則において明らかにするものとする。