賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を十分に超える持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から、所得税・個人住民税の定額減税の実施や、賃上げ促進税制の強化等を行う。また、資本蓄積の推進や生産性の向上により、供給力を強化するため、戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制を創設し、スタートアップ・エコシステムの抜本的強化のための措置を講ずる。加えて、グローバル化を踏まえてプラットフォーム課税の導入等を行うとともに、地域経済や中堅・中小企業の活性化等の観点から、事業承継税制の特例措置に係る計画提出期限の延長や外形標準課税の適用対象法人の見直し等を行う。具体的には、Ⅰのとおり税制改正を行うものとする。

また、扶養控除等の見直しについてⅡのとおり決定し、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置についてⅢのとおり決定する。

 

Ⅰ令和6年度税制改正

 

個人所得課税

  • 所得税・個人住民税の定額減税

    • 令和6年分の所得税・令和6年度分の個人住民税について、納税者及び配偶者を含めた扶養親族1人につき、所得税3万円・個人住民税1万円を控除する。ただし、納税者の合計所得金額が1,805万円以下である場合に限る。

  • ストックオプションの利便性向上

    • スタートアップが付与したストックオプションの場合に、年間の権利行使価額の限度額を最大で3,600万円に引き上げる。

  • 住宅ローン控除の拡充(子育て支援税制の先行対応)

    • 住宅ローン控除について、令和6年限りの措置として、子育て世帯等に対し、借入限度額を、認定住宅は5,000万円、ZEH水準省エネ住宅は4,500万円、省エネ基準適合住宅は4,000万円へと上乗せする。また、床面積要件を緩和する。

  • 森林環境譲与税に係る譲与基準の見直し

    • これまでの譲与税の活用実績等を踏まえ、「私有林人工林面積」の譲与割合を5.5割(現行:5割)、「人口」の譲与割合を2.5割(現行:3割)とする。

資産課税

  • 土地に係る固定資産税等の負担調整措置

    • 宅地等及び農地の負担調整措置について、令和6年度から令和8年度までの間、商業地等に係る条例減額制度及び税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みを継続する。

  • 法人版事業承継税制の特例措置に係る特例承継計画の提出期限の延長

    • 法人版事業承継税制の特例措置について、特例承継計画の提出期限を2年延長する。