相続手続きには、まず被相続人の戸籍(生まれてから亡くなるまで)と相続人の戸籍が必要です。

 

1. 戸籍とは

戸籍とは、日本国民の親族関係や出生、死亡などを記録したものです。1つの戸籍には、1組の夫婦と未婚の子について記録されます。

戸籍の原本は本籍地の市区町村に保管されています。

戸籍の内容を証明する書類が必要な場合、本籍地の市区町村から戸籍謄本または戸籍抄本を取得します。

  • 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)は、戸籍の全員分(夫婦と未婚の子)について記録された証明書
  • 戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)は、戸籍に含まれる指定した人のみについて記録された証明書

2. 取得できる人

戸籍謄抄本を取得できるのは、基本的に以下に当てはまる方のみです。

  • 取得する戸籍に含まれる本人
  • その本人の配偶者、または直系の親族

直系の親族とは、本人の父母、祖父母、子、孫などを指します。叔父、叔母、従兄弟などは含みません。

上記以外の方が取得する場合、代理人として取得するか、必要な理由によってはその理由を証明することで取得できる場合があります。

代理人として取得するには

代理人が取得するには、取得する戸籍に含まれる本人が署名、押印した委任状が必要です。

委任状の書式は市区町村が公式ホームページなどに公開していることが多く、それを用いるのが確実です。

また、取得の際に代理人自身の本人確認書類が必要です。

3. 本籍地について

戸籍謄本または戸籍抄本を取得する手続きは、本籍のある自治体(本籍地)に対して行います。住所がある自治体とは異なる場合があるのでご注意ください。

本籍地が分からない場合

戸籍は結婚などで分離をしていない場合、一般的には親の戸籍内に存在します。そのため、まずは親に確認することをお勧めします。

その他の方法としては、本籍を記載した住民票の写しを取得する方法や、警察署などで運転免許証のICチップのデータを確認する方法があります。

4. 取得方法の比較

代表的な3つの取得方法を比較して、簡単にまとめると次のようになります。

取得方法 特徴
窓口 ○ 特別な事前準備は不要
△ 役所への訪問が必要(混雑している場合も)
郵送 ○ 本籍地が遠方の場合に利用しやすい
△ 準備の手間や費用が少し増える
△ 入手までに日数がかかる
コンビニ ○ 全国の多くのコンビニが対応し、その場でプリント可能
○ 手数料が低く設定されていることが多い
△ マイナンバーカードが必要
△ 居住地と本籍地が異なる場合、事前の利用登録が必要で日数がかかる

以下では、それぞれの取得方法で必要なものなど詳細を説明します。

5. 窓口での交付

本籍地の役所や出張所の窓口で手続きをする方法です。その場で戸籍謄本または戸籍抄本を受け取ることができます。

持ち物

  • 本人確認書類
    マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど
  • 手数料
    450円
  • 委任状(代理人の場合)

より詳しくはお住まいの自治体の公式ページをご確認ください。

6. 郵送による請求

必要な書類をまとめて郵便で送り、後日に自治体から指定した戸籍謄本または戸籍抄本が返送されてくる方法です。

請求時に送るもの

  • 請求書
    請求する人の氏名や連絡先、請求する理由などを記述したもの(自治体の公式サイトから書式をダウンロードできる場合が多い)
  • 本人確認書類のコピー
    マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどのコピー
  • 返送用の封筒と切手
    封筒には宛名を記入する
  • 手数料
    定額小為替(郵便局)を同封して納付する場合が多い。金額は450円

返送が届くまでの日数は、1週間から10日前後と説明している自治体が多いです。自治体によって幅があるため、十分な余裕を持ってご準備ください。

送付先の住所など、より詳しくはお住まいの自治体の公式ページをご確認ください。

7. コンビニでのプリント

※2023年5月 一部地域で、コンビニでの証明書発行停止 マイナンバーカードを使って住民票の写しを交付するサービスで不具合が発生しており、一部地域でコンビニでの証明書発行が停止する予定です。 停止する時期や期間については、お住まいの市区町村にご確認ください。

マイナンバーカードをお持ちの場合、全国のコンビニエンスストア等のマルチコピー機を利用して、戸籍謄本や戸籍抄本をその場でプリントすることができます。

対応する店舗で、毎日6時30分から23時までの間に利用可能です。

持ち物

  • マイナンバーカード
    一部の自治体では住民基本台帳カードでも利用可能
  • 手数料
    350円前後、自治体により異なる

多くの自治体では、窓口や郵送よりも手数料が低く設定されています。

住所地と本籍地が異なる場合、事前に利用登録が必要となります。利用登録の申請もコンビニのコピー機から行うことができますが、登録には日数がかかるためご注意ください。詳しくは本籍地の戸籍証明書取得方法(地方公共団体情報システム機構)でご確認ください。

その他のより詳しい情報は、コンビニ交付の公式サイト(地方公共団体情報システム機構)内の以下のページなどでご確認ください。

8. 似た言葉や関連用語について

戸籍謄抄本と関連した言葉、似た言葉として次のようなものがあります。

  • 戸籍謄本(こせきとうほん)
    1つの戸籍の記録された全員分(夫婦と未婚の子)の情報を記載した証明書です。
  • 戸籍抄本(こせきしょうほん)
    1つの戸籍に記録された人のうち、指定した人の情報だけを記載した証明書です。
  • 戸籍全部事項証明書
    戸籍謄本と同じ意味です。戸籍が電子化された後はこちらが正式名称ですが、現在も以前からの慣習で戸籍謄本と呼ばれることが多いようです。
  • 戸籍個人事項証明書
    戸籍抄本と同じ意味です。上記と同様にこちらも正式名称ですが、現在も戸籍抄本と呼ばれることが多いようです。
  • 戸籍の附票(ふひょう)
    戸籍に記録された人の、住民票上の住所の移り変わりを記録したものです。過去の住所の証明のために必要になることがあります。
  • 原戸籍(げんこせき、はらこせき)
    法改正以前の古い様式の戸籍を指す言葉です。現在の戸籍では記録されていない情報が含まれるため、相続の手続きなどの際に必要になることがあります。
  • 除籍謄本(じょせきとうほん)
    結婚、離婚、死亡などによって戸籍から人が除籍されていくことがあります。除籍によって誰もいなくなった戸籍謄本のことを除籍謄本と呼びます。相続の手続きなどの際に必要になることがあります。

戸籍の附票、原戸籍、除籍謄本の写しなどが必要な場合も、本籍地の市区町村から取得します。