11カ月振りに奥秩父にある茅葺き

屋根の民宿「S」に1泊。

 

日本の原風景の茅葺き屋根の古民家

であるとともに、この宿の名物は豊

富な山の幸を使った手作り料理。

春の山菜を美味しくいただける季節

にこの宿を訪れるのは5回目。ただ

今回は例年より訪れる時期が早く、

山菜の天ぷらの量は少なめでその代

わり猪鍋が付くプラン。

 

300年以上も前に建てられただけあ

って、歴史とどこかホッと心が温ま

る懐かしさを感じさせてくれる。

天井と柱は黒に近い焦茶色の板張り、

壁は白を基調に隣りの部屋や廊下と

の仕切りは板戸。建てつけは古い建

物なので少し隙間があり、防音も良

くないが、外から鳥のさえずりやウ

グイスの鳴き声がよく聞こえるのは

風流だし、畳は古いがやはり落ち着

く。

 

16時にチェックインし宿で一休み。

茅葺きの屋根裏に当たる2階や囲炉

裏の間を見て回る。やはり風情があ

る。


一番の楽しみの夕飯は、食膳に何品

も並ぶ。ワラビのお浸し、大根と里

芋の煮物、山芋のすりおろし、天然

の山菜の天ぷら(行者ニンニク、コ

シアブラ・コゴミ・イワタケ)、ヤ

マメの甘露煮、猪鍋、岩茸寿司。最

も楽しみにしていた山菜の天ぷらは

やはり最高。天つゆで食感と味わい

を楽しむ。ワラビの和えものや煮物

も薄味ながらしっかり味が染みてい

てホント美味しい。ヤマメは柔らか

く、粘りがメチャ強い山芋のとろろ

もご飯にバッチリ。猪鍋は味噌仕立

てで野趣に溢れている。肉は脂っこ

くなく相応の歯応えがあって肉々し

い。白菜・キノコ類・ニラ・ニンジ

ン・ゴボウなどの旨みも出てご飯が

どんどん進む。更にイワタケ寿司を

食べた後、最後に手打ち蕎麦が登場。

つなぎ粉でなく山芋と卵白を使った

蕎麦は少しポロポロしているが、風

味・喉ごしともに絶品。毎回いつも

大満足の夕飯となる。今回はイワナ

骨酒を頼み、味わい深さと香りも大

いに楽しんだ。なお、珍味の岩茸は

標高2,000mの霧の深い場所にある

幻のキノコで、大奥の献上品でもあ

ったという。山菜を含め、獲り師の

ご主人の苦労に感謝。

 

日頃の疲れもあり、この夜は21時

に床についた。なので風呂は翌朝6

時の一番風呂。緩和性弱アルカリ泉

の鉱泉でお湯の質がなめらかで、ひ

のきの浴槽も気分が良い。出た後は

身体がポカポカして肌もツルツルに

なった。

 

翌日の朝食は、メインは目玉焼きと

ハムとシンプルだが、納豆やお手製

の梅干しと海苔、味噌汁で綺麗な水

で炊いた粘り気のあるご飯を2杯い

ただき、エネルギーを充填して帰途

についた。