カタールで開催されているアジアの
頂点を決めるアジアカップ。決勝ト
ーナメント1回戦でバーレーンを3
-1で退けてベスト8に進んだ日本
の準々決勝の対戦相手は強豪イラン。
世界ランクでは両国がアジア1位・
2位であり、こんなに早く当たると
はという部分はある。バーレーン戦
で三苫が途中出場したのは朗報だが、
今度は伊東が代表を離脱、旗手もケ
ガでベンチ外。
日本の先発メンバーは、GK鈴木、
DF伊藤・冨安・板倉・毎熊、MF守
田・遠藤・久保・堂安、FW前田・
上田。
日本のフォーメーションは4-2-3-
1。序盤は日本がやや優勢の展開も、
イランの選手は屈強でチャージが激
しく、有効なチャンスにはなかなか
至らない。イランはボールを奪った
後の切替が早くて威力も強いし、ロ
ングスローも脅威だ。13分、イラ
ンにペナルティエリア左外から強烈
なシュートを打たれたがこれはクロ
スバーの上に外れ一安心。その後も
日本が主にボール保持する時間帯が
続く。イランは3日前のシリア戦で
延長まで戦った疲れもあるのか、あ
まり積極的に前に出ず日本にボール
を持たせている印象。24分、イラ
ン選手がカウンターで抜け出そうと
したところを板倉が倒してしまいイ
エローカードを貰う。ただ対応が遅
れていたら危ない場面だった。試合
が動いたのは28分。日本は左サイ
ドハーフライン付近から守田が前方
中央の上田に速いパスを供給。上田
は背中に相手選手を背負いながらボ
ールをキープし、走り込んできた守
田にポストプレーでボールを返す。
勢いがついた守田はそのまま巧みに
ボールをコントロールしながらゴー
前中央に抜けてスライディングしな
がら右足でシュート。相手GKが足
でブロックしたもののコースが変わ
ったボールはネットを揺らし、日本
が1点を先制。日本は良い時間に点
を取れた。日本が先制した後もイラ
ンは思ったほど強く攻めて来ず、日
本は左右中央から多彩な攻撃を仕掛
ている。久保は左右に顔を出し、前
田が前線から早めのプレスで守備し
ているのも効いていた。だが39分
にヒヤリとする場面が。イランのハ
ーフライン付近左サイドからのラフ
な前方への浮き球に板倉が相手選手
と競いながら抜け出され、強いシュ
ートを打たれてしまう。幸いゴール
右に外れたが危なかった。板倉はイ
エローを1枚貰っている影響もある
のだろう。これを機にという訳でも
ないだろうが、局面が変わり前半の
残り時間は何度かチャンスを作られ、
イランの時間帯に。イランは左右奥
深くにロングボールを放り込み、そ
こからチャンスを作る攻めを多用し
始める。この時間、日本は毎熊がク
ロスに的確に対応していたのが目立
った。日本はイランの攻撃をしのぎ、
前半は日本1-0で終了。
後半の立ち上がりもイラン優勢。引
き続きイランのロングスローと左右
前線へのロングボールは怖い。だが
日本も負けていない。後半6分、久
保が敵陣中央左からゴール前に早め
に長い浮き球を入れるとドンピシャ
で上田に届く。上田のヘディングシ
ュートは惜しくもクロスバーを越え
たが見事な連携だった。久保は8分
にもペナルティエリア内で相手をか
わしてシュートを放つがこれはゴー
ル右に外れる。しかし日本は10分
にイランに同点に追いつかれてしま
う。ハーフライン付近から前へのグ
ラウンダーのパスを3回繋がれ、最
後はオフサイドぎりぎりのタイミン
グで抜け出した選手がゴール。日本
は完全に崩された形だがイランの攻
めも上手かった。1-1に追いつい
たイランはこれでギアが上がり、ス
タンドの応援も熱さが増す。日本は
押され気味の展開を余儀なくされ、
パスを繋いでも潰されてしまう。イ
ランの前線へのロングボールは脅威
だ。18分にまたハーフライン付近
からゴール前中央に浮き球が飛び、
これを受けた選手が左サイドに流れ
た後に中央に切り返してシュートす
るとゴールへ。これはオフサイドの
判定でノーゴールとなったが、どう
してもゴールを破られた恐怖が残る。
22分にも自陣右中央からゴール前
左にロングボールを入れられ、相手
のヘディングシュートがゴール僅か
左にそれて失点を免れる。ここは日
本DF陣のマークがずれてフリーに
させていた。直後の23分にはイラ
ンがゴール前中央に入れた浮き球を
オフサイドの位置にいた選手が後ろ
に頭で折り返し、それをイラン選手
がボレーシュート。鈴木がセーブし、
後でオフサイド判定が出たが、イラ
ンがDF陣の背後に強引にボールを
放り込んでくる攻めや、跳ね返して
もセカンドボールを拾われてしまう
ところが気になる。22分、日本は
前田・久保→三苫・南野に交替。後
半の残り半分、ここからが正念場だ。
27分、再びイランのロングボール
のこぼれ球を拾われ、左サイドから
中央へのクロスに綺麗に頭で合わさ
れてしまうがこれはゴール左に外れ
て命拾い。日本は後ろから短いパス
を繋ごうとしてもコースがなく後ろ
に戻したり、三苫のドリブルを活か
そうとしてもイランは二人で寄せて
来て阻まれたり、選手同士のサポー
トも弱い感じで、点を取れるような
気がしない。38分、2人で対応に
行きながらイラン選手に右サイドを
突破され、中央へのクロスはDFが
クリアしたがそのボールをイラン選
手がアクロバティックにボレーシュ
ート。これは鈴木が正面で防ぎ難を
逃れる。42分にはゴール前左にこ
ぼれたボールを鈴木が取りにいって
回収できず一瞬ゴールがガラ空きに
なったり、44分にも左からゴール
前に綺麗なクロスを入れられて冨安
がヘディングで外に出しコーナーに
逃げたりとヒヤヒヤが続いたが、そ
れでも何とか失点せずにアディショ
ナル・タイムに突入。これで一旦後
半を終えて悪い流れを断って延長戦
だなと思っていると、48分にまさ
かの事態が発生。イランのロングボ
ールをゴール前で毎熊が競ってこぼ
れたボールがゴール中央真ん前に落
ちると冨安と板倉が一瞬お見合い。
そこに飛び込んできたイラン選手を
防ぎに行った板倉が相手を倒してし
まう形となり、まさかまさかのPK
を献上。これを決められて日本1-
2と残り時間が無い中で逆転を許し
てしまう。そのままゲームは終了し、
日本はベスト8止まりでアジアカッ
プを去ることとなってしまった。
正直、後半はイランに完全に押され
ていたので完全な力負けと認めざる
を得ない。前半に先制した後は日本
が負ける雰囲気は全く無かったのに、
途中からイランが戦術を変えてロン
グボールを放り込む攻めになってか
らは、戦術や選手交替も含めて対抗
する手が打てなかったのは大きな課
題だ。アジアでの戦いは厳しさを増
いる。これからW杯の2次予選・最
終予選が本格化するので、今回の反
省を活かして前に進んでほしい。