長渕剛の12thアルバム「JEEP」
(1990年)収録。
売れない自分に目をかけてくれた飲
み屋の親父への想いを綴った哀切で
男気に満ちたバラード調のフォーク
ロック・ナンバー。
曲の構成はAメロ→Bメロ→サビ。
イントロで心に沁みるハーモニカが
響いた後、キーボードをバックに語
り口調気味のAメロと抑揚があるB
メロが続く。途中からバンド演奏が
入り、サビは力強いリフレインにな
る。ここでは混声コーラスが加わり
曲に厚みが増す。中盤の間奏と終盤
はハーモニカからバイオリンにスイ
ッチ。サウンドは陰影が深くなり、
サビの繰り返しで盛り上がりながら
フェードアウトしていく。
ボーカルは斜に構えたり突き放した
ような歌い方は採り入れておらず、
切々とストレートに歌いつつ時に熱
唱する姿勢から情感が伝わってくる。
TVドラマ「北の国から ‘92巣立ち」
で使われた場面も有名。
♪ 続けざまに苦しそうな
せきばらいをしてた
西新宿の飲み屋の親父が
昨日死んだ
「俺の命もそろそろかな」って
吸っちゃいけねえタバコふかし
「日本も今じゃクラゲになっち
まった」って笑ってた
わりと寂しい葬式で春の光が
やたら目をつきさしてた
考えてみりゃ親父はいい時に
死んだのかもしれねえ
地響きがガンガンと
工事現場に響きわたり
やがて親父の店にも
新しいビルが建つという
銭にならねえ唄を歌ってた俺に
親父はいつもしわがれ声で
俺を怒鳴ってた
錆ついた包丁研ぎ
とれたての鯛をさばき
「出世払いでいいからとっとと
食え」って言ってた
「やるなら今しかねえ
やるなら今しかねえ」
66の親父の口癖は
「やるなら今しかねえ」 ♪