ブラック・サバスの2ndアルバム
「パラノイド」(1970年)収録。
黒魔術的な様式美の世界を体現した
初期サバスを代表する大曲の1つで、
ドラマチックな転調を含んだ8分弱
の暗く重いミディアムテンポのナン
バー。
イントロはどんよりと不気味で暗澹
とした重々しい出だしで始まる。サ
イレンなのか吹き荒ぶ風の音なのか
不安を煽る音も加わり1分ほど経つ
と、シンバルが緊張感を高めるリズ
ムを刻んだ後、突如地獄の底から這
い上がってきたようなオジー・オズ
ボーンのおどろおどろしい強烈なボ
ーカルのAメロが始まる。それに合
わせてバックも重々しく統制された
見事なストップ&ゴーの演奏を断続
的に展開。トニー・アイオミの湿り
気を帯びた悪魔的な重厚なギターリ
フも耳に残るが、何より目立つのは
憑かれたように激しく叩きまくるビ
ル・ワードのパワフルなドラムだ。
とにかくこのド迫力には圧倒される。
曲は転調を重ねながら、変則的なリ
ズムのBメロを経て、中盤と終盤に
ギターソロで見せ場を作る構成にな
っている。ここではアイオミの職人
芸的な地味に凄いギターが聞ける。
中盤はメロディアスな旋律からトリ
ッキーなプレーに移行し、終盤は即
興演奏のような形で速弾きリフレイ
ンを含むドラマチックな演奏が続く。
オジーのボーカルもかなり個性的だ
が、この曲ではバックのメンバーの
高い技術力の演奏が主役級の存在感
を発揮している。
実は歌詞のテーマは反戦。侵略国家
の権力者たちに響いてほしい。