そして、ランサーを抜き去り、そのランサーの走る追い越し車線に入り、加速を追加した。


まだ、あんなに余裕があったなんて…


みるみる、差がつきスープラははるか前方に進んで行ってしまった。


「速えぇ~っ」


カズトのRX7では追いつけなかった。


アクセルベタ踏みしてるし…

220㎞が、限度ぽかった。

ちょっと悔しさが残ったけど、それからスピードを落とし、また、真ん中の道を120㎞ペースで走り出した。


「やっぱ最高速使用にはかなわないなぁ~。久々に熱くなったよ。」


カズトは落ち着いてた。

昔走り屋やってて、それからずっとRX7を乗っているなんて、


ってか、この車…


すでに、15万㎞も走りこんでるし。

本当にこの車が好きなんだね!!

もしかして、恋愛もそうなのかなぁ~?


イヤイヤ…

あちこち、乗り変えている噂を耳にするぞ!


「車、かえないの?」


「コイツまだまだ走るしね、長年乗ってると愛着あるし、買い替えると、きっとこの車、売れないから廃車だろ。何か淋しくなっちまうからな…」


「あと…、あの車にも会いたいしね!乗り変えたらきっとオレの車わかんねーだろうし」


あの車?!


「昔さ、首都高でバトルした赤のMR2って、めちゃ速くてさ、また会いたいなぁ…なんて、」



えっ! 知ってんだ。

ちょっとビックリした。

そんな有名?


「その人知ってる人?」

「いや、見たことないから、オレの車の事は覚えてると思うよ。なんせ、一度は抜かした場面あったからね。今は姿が見えないらしいから、引退したのかもね」