カズトは、前のトラックとの車間を取って走っていたが、左車線へ移った後ろの車が、猛烈な勢いでカズトの走るまん中の車線の前に出た。スープラだ。
「あぶねッ!」
そして、そのまま追い越し車線へと飛び出して行った。
ランサーを追っているようだった。
「なにアレぇ~」
しょうこが少し不機嫌そうに言った。
こうゆう運転を目の前でされて気分のいいものではない。
グォォォ…
カズトが追い越し車線に入った。
「俺の目の前横切りやがって…許せん!」
カズトも腹を立てたらしい。
さっきまでとは違って、視界が一気にせばまった。
アクセル全開。
ターボの音が車内に聞こえてきた。
120㎞だったメーターは、あっという間に195…210㎞まで到達し、前のスープラのすぐ後ろまでつけた。
左車線側を走る車が、止まっているように感じる。
中央車線の先に車がなくなった瞬間、カズトのRX7がそこに入った。
さらに、アクセルを踏み込み、スープラに並ぶ。
乗っているのは若い男だった。
チラッと、こっちを見て、ニヤケた気がする。
すると、高音を奏でながら、スーッと前に出て、カズトの前に車線変更をしてきた。