《キネコミックス④》
中年向けの精力増強剤のCM。
商品が商品だけに、刺激的なCMが製作されたが、流行りの純愛路線に変更してほしいと、企業側からクレームが入ったと営業に言われる。
さすがの飛田松五郎も、行き詰まってしまう。
純愛と言えばセーラー服と、コマちゃんもコスプレで協力しようとするが、それでは純愛のイメージが沸かないと否定されてしまう。
かくして飛田松五郎のアイデアはこうである。
ロミオとジュリエットのような展開。
彼女に振られて、自殺を図ろうとする男。
それを見かねて父親が一緒に死のうと言う。
二人が死んだ後に、一緒にいたのは兄だったと泣いて悲しむ彼女。
そして死を選ぶのだが、彼らは死んでいなかったのだった。
死んだ彼女を大きな瓶につめて、永遠の愛だと表現する。
かくして二人は彼女のおかげでモテるようになって…彼女こそ、商品だったのだと。
そういうアイデアを出すのだが。
コマちゃんは、分かりにくいと改定案を出す。
死んだ彼氏にキスをすると目を覚ます。
二人は商品の瓶のようなスイートホームを築くことになると。
だが、ダメ営業マンは聞き間違いをしていたのだ。
純愛だと思っていたものは、獣愛だったのだ。
獣と人間との愛だと…それこそなんじゃそら!(汗)
実業之日本社「週刊漫画サンデー」1971年頃・初出。
(講談社「石ノ森章太郎デジタル大全」より「CMコマちゃん(1)」から)