《70-14 スター誕生の巻④》
飛田松五郎は、自殺しようとした星空ヒカルのために、何をしたか?
それは、事務所の社長にパンチを食らわせたのである。
そばには、新たな女がいていちゃついていた最中だった。
そう、事務所の社長は売り出し中のアイドルに手を出し、そして捨てたのである(汗)。
「自分の商品に手を出して何が悪い!」
売り出すためには何でもやる悪い男である。
好きな人のために、星空ヒカルはアイドルとして頑張っていたのに。
だが、自分自身も彼女を商品として扱い、金の亡者になっていたのは確かなのだ。
彼女は、別の女のいる社長のもとへ戻っていく。
飛田松五郎は、それ以上どうすることも出来なかった。
だが、ほころびは彼が何もしなくても起こったのだ。
事務所の金づるの元であった石油会社社長が再び、毒性の鉛入りの石油を新商品として販売したのが発覚。
そのつながりで、事務所の社長と星空ヒカルのスキャンダルがマスコミによってすっぱ抜かれた。
人々は、あれだけ称賛したアイドルに罵声をあげ始める。
そして、ついに星空ヒカルの整形された顔が崩壊したのである。
飛田松五郎は、バーで酒を浴びるほど飲み、涙を流すしか出来なかった。
ギャクマンガじゃなかったのか?
これが石ノ森章太郎らしいところかもしれないが(汗)。
小学館「週刊少年サンデー」1970年頃・初出。
(講談社「石ノ森章太郎デジタル大全」より「CM野郎」から)