009ノ1④-5 | ネムリ・モヤのブログ

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アートと旅と食を愛す孤高の仮面ライダー好き女

《指令No. 28 R&B》

009ノ1は、うなされていた。


実はそれが聴かされている音楽のせいだった。


目を覚ますと36(サム)という男が、待ち構えていた。


二重スパイと思われる男。


いつものように女であることを利用して、近づけたかに思われた。


男は、黒人であり、R&Bという音楽を愛する人物だった。


その音楽に暗号化した言葉を入れて、仲間たちと連絡しあっているのだった。


有名なミュージシャンもその一人だという。


そして今、また音楽を利用し、彼女を爆弾で始末しようとしていた。


あるフレーズが来ると爆弾が作動する仕組みになっている。


だが、彼は自分自身に爆弾をセットし、命を落とす。


スパイは、ミスが許されない過酷な世界である。


…R&B(リズムアンドブルース)、この音楽は独特のリズムである。


黒人たちが編み出した彼らの宝物である。


この中に何かが潜んでいると言われても、我々はうのみにするしかない。


「この音楽には、かなわない!」


そんな石ノ森章太郎先生の声が、聞こえてきそうである。



双葉社「週刊漫画アクション」1969年9月25日号・初出。


(講談社「石ノ森章太郎デジタル大全」より「009ノ1(4)」から)