(創作)ある別れ銀色の冠をかぶったまま、横たわる王さまがいた。この王さまは、在位中悪さばかりして国民を苦しめていた。死ぬ間際だけは、いさぎよく逝ったかのようだったが、残された国民は路頭に迷うことになるだろう。これからが正念場だ。…歯周病で奥歯を抜かれた作家は、歯科のトレイに横たわるそれを見て寂しくもあったが、別れとはそういうものだと割り切るしかなかった。せめて物語に残すからと誓ったのだった。(終わり)