ワタシは、気がついたら道路に倒れていた。
いったい何が起こったというのだろう。
たったひとり、ワタシの相方はどこに行ってしまったのだろう。
ワタシがいなければ、何の役にも立てないヤツだと思っていたのに。
ワタシを置いて、どこに行ってしまったのだろう。
ワタシ自身、怪我こそ無いが心の動揺が隠せない。
ワタシとあいつ、最高のコンビだと思っていたのに。
あいつもワタシがいないで困っているに違いない。
そうに違いないのだ。
もう少しで春だと思ったのに、ワタシはどうすればいいのだろう。
そこにイヌがやってきて、ボクにちょっかいをだしてきた。
だが、つまらないヤツだと思われたのか、去っていく。
このまま、ワタシは孤独に包まれて行くのだろうか。
ワタシは耐えかねて、再び目を閉じた。
そこには、楽しかった思い出だけが走馬灯のように現れた。
《手袋》という最高のコンビを忘れてほしくないのだ。(終わり)