(創作)時は止まらない | ネムリ・モヤのブログ

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アートと旅と食を愛す孤高の仮面ライダー好き女

その時計は、何度も故障を繰り返しました。

それでも持ち主は、お気に入りの時計を手放す事はしませんでした。

部品を交換しつつ、元とは違う物も利用しながら、なんとか時計は、動くようになって戻ってきていました。

そのたびに、持ち主は大喜びでそれを迎え、大事に使っていました。

ある時、ついに時計は修理のプロもなおせないと、返されてきました。

プロも限界があるのです。

わかっていても、持ち主にはなおす力がなかったのです。

すぐには捨てることはできないでしょう。

持ち主は、動かなくなった時計を、なめ回すように見つめました。

様々な思い出が浮かび、涙があふれるばかりでした。

他人にとっては、ただの時計にしか見えないでしょう。

持ち主にとっては、人生のパートナーだったのです。(終わり)