弱いカニをいじめていたなんて。
でも、仲間に誘ったのは僕なんだ。
責任をもって、見守るよ。
まさか、おじいさんにお金が埋まっている場所を教えてたなんて知らなかった。
それなら、僕も鬼退治になんか出なかったのに。
それでも、あいつは約束の時間には来なかった。
それまでの友情だったんだな。
最後に残ったお前は、裏切らないよな。
そうだ、お前には翼がある。
いつでも、逃げ出せるんだったな。
かつて居心地のいいお札にいたはずなのに、飛び出したらしいな。
そうだ、僕にも権利がある。
名前を変える権利だ。
こんなカッコ悪い名前なんか、恥ずかしくてみんなに言いづらいし。
いつか忘れ去られる存在になってしまうだろう。
だけど、末代までこの名前で語られると思えば、まだましだ。(終わり)