すぐにでも王子さまがやって来て、目覚めのキスをしてくれると思ったのに。
私は眠ったまま、何年も過ごしてしまった。
リンゴをかじったまま、仮死状態。
あるいは、毒のついた糸を触ったからだったからかしら?
あまりにも昔過ぎて覚えてもいない。
目を覚ますと、春の訪れがやって来てるみたい。
私も、動き出さなくっちゃ。
でも、ガラスの靴の片方をどこかに落としてしまったようね。
あんな履きにくい靴より、自分に合った靴を選ぶべきだったわ。
そうすれば、月に行く馬車にも間に合ったのに。
私を育ててくれたおじいさんやおばあさんは、元気にやってるかしら。
きっと、大きい箱がいいか小さい箱がいいかで、くだらないケンカをしてるだろうな。
そう、私のことばかり考えてもらっちゃ困るのよ。
私は、オズの国をこれから目指して旅をするのだから!(終わり)