(創作)赤い川の記憶 | ネムリ・モヤのブログ

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アートと旅と食を愛す孤高の仮面ライダー好き女

彼女の平手打ちは、強力だった。

それだけで、僕という存在は消滅してしまったよう。

その強烈な刺激で、僕は、かつての記憶をよみがえらせた。

かつて外国の伯爵だった僕は、愛した女性の首を強くしめた。

それは、僕の愛が強すぎたからかもしれない。

彼女の首もとから、赤い川が流れた。

そのとたん、僕は、我に返りその血を止めようと首に口を当てた。

なぜ、そのときそうしたのかわからない。

彼女の川の水を飲んでみたいと思ったからかもしれない。

そのときから、僕は、吸血鬼と呼ばれるようになってしまったのだ。

そうだ、僕は、また愛した女性を苦しめている。

もう人間として生まれ変わっていないというのに。

小さな虫になっても、まだ悪いクセが治らない。(終わり)