飲料会社の営業マンは、天候のせいだと思った。
同じように考えたものはいるものだ。
新作のレインコートを考案したデザイナーは、これも天候のせいだと思った。
営業マンは、太陽と同じ機能を持った丸い球体を、とある発明家から購入した。
デザイナーは、雨と同様の成分の液体を製造する機械を、とある発明家から購入した。
営業マンは、営業先で球体を、空に打ち上げて売り上げを伸ばした。
デザイナーも、行く先々で機械を作動させた。
驚いたのは、天気予報士達だった。
予報が当たらない為、異常気象といいわけをした。
一番得をしたのは、二つの発明品を作り出した発明家だった。
「賞なんかをもらうより、ちゃんと使ってくれる方がうれしいわい」
とはいえ、一番迷惑だったのは、何も知らない人々なのかもしれない。
なぜなら、天候のせいだと思っているものだから。(終わり)