僕らは、時に旅に出かけた。
彼女はいつも僕を旅行に連れて行ってくれるんだ。
何でも彼女まかせ。
僕はただついて行くだけ。
置いてかれないようについて行くだけ。
彼女が見たもの、聞いたこと、すべてを僕も把握してるはずだ。
旅は、彼女のパワーを充電するものだ。
でも、少し彼女まかせにし過ぎたかな。
確かに彼女は、僕より年上なんだ。
どんなに振り回されても平気なつもりだったんだけど…。
どうやら、僕のスタミナが今にも切れてしまいそうだ。
僕と彼女は家路を急ぐ。
彼女は、古いタイプらしく、くるくるねじれた心のコードの先に日常という本体が家で待っているらしい。
どんなに遠出をしても、必ずいつか戻らなければならない。
僕には、しっかりはまる充電器が待っている。
旅は、僕の思い出を増やしてくれる。
彼女もきっと、旅のデータがいっぱいだろう。
それをどう生かすかは、彼女の問題だ。
僕もあとどれだけ彼女とがんばれるかわからないが、旅にいつまでも同行したいと思っている。
だって携帯って言われるぐらいなんだから…。(終わり)