夜、親父が2階の僕の部屋に来た。
時間は7時半過ぎ。
6時過ぎにはもう寝床についていたので
一旦寝たあと、起きてから部屋に来たのだった。
「大、ちょっとええか」
「ん、どうしたん?」
部屋に入って、僕のベッドに座る。
タオルで顔を隠し、頭を下へ向けている。
「あんな、夢でな、おかあさんがおいでおいでするんや」
親父は前にもそのことを話したことがあるので
黙って聞いていた。
「もう寝るんが恐くてなあ。おいでおいでするんや。
行ったらあかんと思うんやけどなあ」
「そっかあ、それは恐いなあ」
ここ最近はなかったけど、夜になると気分が落ち込む親父。
毎晩ビールを飲んで、この日も大好きな「笑点」を見ながら
大声で笑っていた。
いつもなら、そのまま寝るんだけど、この日は違っていた。
認知症の症状として「うつ」が出ることもあると知っていた。
親父はすごく陽気な性格で、人前では明るく振舞っていて
たぶん身内以外は、落ち込んだ姿は想像できないと思う。
久しぶりに落ち込んだ親父を見て、最近の出来事を思い出していた。
年末に家から歩いて10分位の、行きつけの散髪屋に行った親父。
いつもならそのまま真っ直ぐ家に帰ってくるんだけど
その日は30分近くもかかった。
家へ帰る道が分からなくなったからだった。
家とは正反対の、駅の方まで歩いてしまい
そこでようやく気づいたらしく、そこから帰ってきた
のだった。
そのことを話す親父はとてもショックを受けていた。
そして、年明け。
知人に会いに行き、夜の9時頃帰ってきた。
そのことを聞くと、待ち合わせの場所に行くのに
これまではすぐに行けたのに、その日は30分近く迷って
しまったそうだ。
そして、「大、お前も一緒におったよな?」
と言った。
僕はその日、ジムに行ってて知人に会ったのは親父1人。
いつも知人のお孫さんが一緒に来ているので
どうやらお孫さんを僕と間違えたらしい。
「ん~、僕は行ってないなあ。
お孫さんと間違えたんかも」
というと、「あーそうかあ」と気づいた様子。
今まで行けた所に迷ってしまい、家へ帰るにも苦労する。
一緒にいた知人のお孫さんを僕と間違えた。
これは親父にとってめちゃくちゃショックだったろうなあ。
「これからは行く前に地図書いておこか。
それ持って出かけるようにしよ」
「そうやな、たのむわ」
そんな事を寝る際に思い出したのかなあ。
不安になると母の夢を見ることがあるので、きっとそうだろう。
ベッドに座った親父はタオルで顔を覆ったままだ。
「すまん、なんか話すると泣けてくるわ
でも、どうしたらええやろなあ」
「ん~、夢は自分も毎日見るけど、そんな夢やと
悲しなるよなあ。」
「なんか眠れる薬とかあるんか?」
「そやなあ、お医者さんに言ってもらってくるから
今日はちょっと我慢してな」
実を言うと、就寝前の薬はもらっていたことがある。
軽い睡眠剤と、安定剤。
けれど、毎晩ビールを飲む親父、以前、その薬を飲んだら
フラフラになり、トイレに行くまでに失禁してしまったので
出してもらうのを止めていたのだった。
そのことは、もう本人は覚えてないと思うし
今、そのことを言ってもしかたないので
親父の肩を抱きながら、1階の寝床まで降りていった。
そのあいだも
「すまんな、迷惑かけるなあ。なんでこんなことに
なってしもたんやろなあ」
と泣きながら話している。
おさーんも泣きながら
「迷惑ちゃうよ。みんなおるから心配せんでええよ」
と言う。
親父の気持ちを思うと、自分が逆の立場やっても
めちゃくちゃ怖いし悔しいから。
「すまん、ほな寝るわ」
と言って、障子を閉めた親父。
明日、薬を処方してもらおうと思う
そのことを話す親父はとてもショックを受けていた。
そして、年明け。
知人に会いに行き、夜の9時頃帰ってきた。
そのことを聞くと、待ち合わせの場所に行くのに
これまではすぐに行けたのに、その日は30分近く迷って
しまったそうだ。
そして、「大、お前も一緒におったよな?」
と言った。
僕はその日、ジムに行ってて知人に会ったのは親父1人。
いつも知人のお孫さんが一緒に来ているので
どうやらお孫さんを僕と間違えたらしい。
「ん~、僕は行ってないなあ。
お孫さんと間違えたんかも」
というと、「あーそうかあ」と気づいた様子。
今まで行けた所に迷ってしまい、家へ帰るにも苦労する。
一緒にいた知人のお孫さんを僕と間違えた。
これは親父にとってめちゃくちゃショックだったろうなあ。
「これからは行く前に地図書いておこか。
それ持って出かけるようにしよ」
「そうやな、たのむわ」
そんな事を寝る際に思い出したのかなあ。
不安になると母の夢を見ることがあるので、きっとそうだろう。
ベッドに座った親父はタオルで顔を覆ったままだ。
「すまん、なんか話すると泣けてくるわ
でも、どうしたらええやろなあ」
「ん~、夢は自分も毎日見るけど、そんな夢やと
悲しなるよなあ。」
「なんか眠れる薬とかあるんか?」
「そやなあ、お医者さんに言ってもらってくるから
今日はちょっと我慢してな」
実を言うと、就寝前の薬はもらっていたことがある。
軽い睡眠剤と、安定剤。
けれど、毎晩ビールを飲む親父、以前、その薬を飲んだら
フラフラになり、トイレに行くまでに失禁してしまったので
出してもらうのを止めていたのだった。
そのことは、もう本人は覚えてないと思うし
今、そのことを言ってもしかたないので
親父の肩を抱きながら、1階の寝床まで降りていった。
そのあいだも
「すまんな、迷惑かけるなあ。なんでこんなことに
なってしもたんやろなあ」
と泣きながら話している。
おさーんも泣きながら
「迷惑ちゃうよ。みんなおるから心配せんでええよ」
と言う。
親父の気持ちを思うと、自分が逆の立場やっても
めちゃくちゃ怖いし悔しいから。
「すまん、ほな寝るわ」
と言って、障子を閉めた親父。
明日、薬を処方してもらおうと思う