4年という月日があっという間に流れ

おさーんが下宿を後にする日が来た。


その日、母と妹が手伝いに来てくれた。

テレビや机、冷蔵庫などの大きなものは

全部近くのリサイクル店に引き取ってもらったので

あとは服とか、本とかを車に積み込むだけたった。



部屋の片付けをしてる間、どうしても聴きたい曲があった。

剛の「二人歩記」。

1人暮らしの部屋を引き払い、次の町へと旅立つ。

そんな思いを綴った曲だ。

いま思うとめちゃくちゃベタなんやけど

おさーんはラジカセでこの曲を流しながら

部屋の整理をしてたんだなー。あー恥ずかし~(*´д`*)



すっかり片付き、何も無くなりがラーンとした部屋を見つめると

4年間の思い出が浮かんできた。


深夜にギターを弾いて隣の人に壁を蹴飛ばされたこと。

男10人でぎゅうぎゅうになりながらAVを見たこと。

ゴキブリが出て、怖くてしょうがなくて、その夜は一睡も

出来なかったこと。

友達と鍋をしたり、徹夜で飲み明かしたこと。

そして、初めて彼女を家に招待した時のこと・・・



そんな思い出を後にして、鍵を締めた。




そしてスーパーの隣にあるお好み焼き店へ向かった。

その日に下宿を引き払うことは前もって伝えていた。

店にはおっちゃんとおばちゃんの2人がいて

母と妹を紹介すると、とても喜んでくれた。

残念ながら娘さんは仕事で来てなかった。


おっちゃんが作ってくれる最後のお好み焼き。

それを食べている間、胸がいっぱいになって

なんだか味がほとんどしなかったなあ。


いつもは「ダイスケ~。元気でやっとるかー。」と

笑いながら話し掛けてくれるおっちゃんだったが

この日はほとんど喋らなかった。

そんなおっちゃんを見てるおさーんも、何か話をすると

涙が出てきそうなので、なかなか声を出せなかった。


隣では母がおばちゃんにお礼を言っている声が聞こえる。

おさーんは妹と少しだけ話をしている。

そんな静かな時間が流れていた。


そして、食べ終わり、いよいよ出発の時間。

席を立っておっちゃん、おばちゃんにお礼を言う。

「今まで、ありがとうございました。身体、気を付けて。

また遊びに来ます。」

これだけ言うので精一杯だった。

見るとおっちゃんの目に涙が光っている。


これ以上店にいると泣いてしまう。

最後は笑ってさよならしようと決めていたので

必死で我慢して、おっちゃん、おばちゃんと握手をした。

母と妹も2人にお礼を言っている。

そして、今日来られなかった娘さんに宛てた手紙を

手渡して店を出た。



駐車場に停めてある車まで、2人は来てくれた。

車に乗り込み、窓を開け、手を振る。

「ありがとう~!!」

バックミラーに手を振る2人の姿が見える。

そこで、もう限界だった。

車を走らせながら、どんどん涙が出て来た。

眼鏡を外し、手の甲で拭いてみるけど全然止まらない。

運転するのにも、視界がぼやけてちょっと危ないので

母と妹に声をかける。

「ゴメン。ちょっと車停めるわ。」

2人は何も言わすにそっとうなづいてくれた。

「あー、ほんま寂しいわー。」

路肩に停めた車の中で、照れ隠しにそう言ってみた。

しばらく落ち着くまでそうした後、また車を出す。

剛と友達とおっちゃん、おばちゃん、そして○○ちゃん・・・

たくさんの思い出を後にして、おさーんは故郷へ向かった・・・。







以上

おさーんの長渕青春純情物語でした~ニコニコ