つづきから


「情報通」から貴重な情報をゲットしたおさーん。

こんなおいしいネタを秘密になんてしてられない。

というわけで、2つの侵入事件を経験した「共犯」に

声をかけ、おさーんを入れた3人で明菜を見に行くこと

に決めた。




「ザ・ベストテン」は夜9時からの放送。

悪友(「共犯」だとイメージ惡過ぎなので訂正)

2人とはJR姫路駅で待ち合わせることにした。

合流したおさーんたちははやる気持ちを押さえ

切符売り場で「入場券」だけを買って新幹線の

ホームへ歩いて行った。


「ホンマに今日ここでベストテンの中継あるのー?」


時刻は午後8時過ぎ。

ホームには乗客がいるにはいたが、テレビカメラ

もないし、中継目当ての野次馬らしき人だかりも

ほとんどいない。


「ホンマやでー。アイツ、嘘ついてたんとちゃうかー?」


何か少し騙された感がモクモクと湧いてきた3人。

「おかしいなあ・・・。」と首をかしげながら

ホームをぐるりと見渡していたその時!


「あっ!アレ何や!?ちょっと見て見て!!」


突然、大声を出した悪友がホームの外に見える

ビルを指さしている。

新幹線のホームは高架になっているため、そこから

見えるのはビルの屋上辺り。そこを見て見てと言って

いるので、「変なこと言うやっちゃなあ。」と思いながら

そちらに視線を向けると・・・


「えーっ!?何あれ!?テレビカメラちゃう!?」


なんと1台のテレビカメラが屋上にあり、誰か

その後ろに立っているではないか。


「マジっすかあ!?ワオー!つーことは・・・」


それまで完全に騙された感で落ち込んでいた3人。

しかし、それを見た途端に大喜びで飛び跳ねる。

そして、ホームを振り返ると何やら人も集まり

始めている。


「オオォォォ- これはひょっとしてひょっとするぞー。」


ひょっとしてどころではなく、100%中継があるぞ。

そう確信したのは、関係者と思われる大人たちが

ホームに集まり始めた野次馬の前をロープで囲っている

それを目にしたからだ。そしてハンドスピーカーを持って

話し始めた。


「えー、本日ここで『ザ・ベストテン』の中継があります。

 生放送であり、時間も限られています。騒いだり列車に

 駆け寄ったりするのは大変危険であり、中継の妨げに

 なりますので、絶対にお止めください。それと写真撮影も

 一切禁止ですので、どうかよろしくお願いします。」


30年近くの前なので想像も入ってるが、大体こんな注意を

野次馬である人たちに告げていた。

当時は携帯なんて無く、写真を撮ろうと思ったらカメラしかない。

中には持ってきている人もいたようだが、写真を撮っても連れ出され

フィルムを取り上げられるのがオチだ。そう思ったのだろう、渋々

カバンにしまう姿も見られた。


おさーんたちは手ぶらで来ていたのでそんな心配はいらない。

騒いで番組を台無しにするなんてことも絶対にしたくない。

それはここに集まっている人、みんなが思っていることだろう。

関係者の言う通り、大人しく待っていることにした。



そうそう、ラッキーなことがあった。おさーんたちはほとんど

1番乗りだったので野次馬の集団に埋もれることなくロープの

最前列に並ぶことが出来た。ホームには野次馬の集団が別の

ところにもあって、よく見ると「情報通」もその中にいた。

お互いそれに気づくと、手を振って笑ったりしていた。



「あー、明菜がもうすぐ来るんやー。めちゃドキドキするなあ。」

「どんなんやろなあ。やっぱめちゃめちゃカワイイんやろなあ。」


そんな事を話しながら今か今かと、新幹線の到着を待っていた。





つづく・・・