つづきから
金縛り状態のおさーんたちに向かって3人組&係員が
だんだんと迫ってくる。
頭の中では「ヤバイヤバイ」の文字がチカチカと点滅
し思考は完全に停止している。
そして、おさーんたちの前に彼らが到着した。
「あのー、ちょっとすみませんけど、そこの席は?」
3人組の中の1人が、おさーんたちに向かって質問する。
「えーと、そのー。」
どう答えてよいのか分からない。頭はパニックなのだ。
だから、そんな言葉しか出てこない。
すると、1番奥に座っていた悪友も、どうやら状況が
飲み込めたようで固唾を飲んでこちらの様子を見つめている。
「えーと、そのー。」
おさーんがどう答えるのか、前に立った3人組&係員、横に
座っている悪友もじっとこちらを見つめている。
そして散々悩み、困った挙句、口から出た言葉はこうだ。
「えーと、空いていたので座りました。」
その通りである。空いていたから座ったのだ。文句あるか。
なんて言い訳が通用するはずもなく、少し呆れたようにこちらを
見つめる3人組&係員。そしてその中の1人がまたまた質問をしてきた。
「んー、でもねー、ここの席って自分らのやと思うんやけど。」
そう言いながら、隣に立っている係員にチケットを見せた。
すると係員はチケットを手にして、おさーんたちが座っている
座席の後ろを、首を伸ばしてチェックしはじめた。
そう、番号が合っているかどうか確かめているのだ。
その間2,3秒。おさーんはもう喉がカラカラだ。冷や汗まで
かいてきた。次にまた質問されたらなんて答えようか。しかし
緊張で何も思い浮かばない。どうしよう、どうしよう。
そして、座席のチェックが終わりチケットを3人組に返した
係員がこう言った。
「そうですねえ、確かにこの席で間違いないですねえ。」
3人組はホッと安堵の表情を浮かべお互いを見ながら
うなづいている。
さあ、困ったのはおさーんたち。こうなれば完全に不審人物である。
気まずい沈黙が流れたが、コンサートはこの間も続いている。
いつまでもにらみ合いをしている訳にもいかない。しかしそこは
さすがの係員、ちゃんとこの場で言うセリフを分かっている。
こちらを見ながら静かにこう告げた。
「あのー、ちょっと来てもらえませんでしょうか?」
なんと中坊相手にこの敬語。いやー、係員の鏡である。
見上げたものだ。よっ!社長!あんたが大将!
こう言われてもまだ座っていられるほど肝っ玉はデカくない。
しぶしぶというか、がっかりというか、観念したというか
とにかくトホホな感じで席を立ったおさーんたちは、係員に
連れられてトボトボと後をついて行ったのだった。
ステージで歌うキョンキョンの歌声に後ろ髪を引かれながら・・・
つづく