おばあちゃんがなくなったって聞いたよ。
お風呂の中で死んでしまったんだって。
いつも笑ってあそんでくれたのに。
いつかまた会いたかったのに。
おさーんが保育園に行ってたときのお話です。
4歳だったので、あまりよく憶えてなくて
ほとんどが人に聞いた話なんやけど。
その日は園の発表会。
王子様の役で、舞台に出る予定だったみたい。
なぜか、本番前からやたら先生に甘えてたって。
「せんせい、だっこ~。おんぶ~。」
それがしだいに
「せんせい、しんどい~。眠たい~。」
に変わっていき、そのまま意識がなくなったんだ。
おどろいた先生は、すぐに救急車を呼んだって。
家の近くのびょういんへ運ばれたぼくは
すぐにしゅじゅつをしたって。
「急性虫垂炎」
しゅじゅつをした先生が、おかあさんにせつめいしたよ。
「危なかったですよ。もうちょっと来るの遅れたら
手遅れになっていたかもしれません。」
からだにうみがまわって、死んでしまうこともあるんだって。
そして、なぜか、とりのぞいた盲腸のあとを見せたんだって。
意識が失くなる前だったので、記憶がないのも当然かも。
でも、入院してからのことはかなり憶えているんだなー。

そこから2しゅうかんの入院がはじまったよ。
家から近くだし、おかあさんは毎日部屋に来てくれた。
さいしょは、なかなか起きれなくて、はじめてトイレにいくとき
1じかんくらいもかかったんだ。
足にちからがはいらなくて、あせでびしょびしょになりながら
おかあさんにささえてもらいながら、やっとトイレについたんだ。
おしっこ、たくさん出てびっくりしたなあ!!
ジャージャー、ジャージャー。
いつまでたっても止まらなくて、しびんからあふれそうだったよ。
そのころのびょういんは、いまと違って
入院してるひとがたくさんいて
そのなかでも、ばくは、むかいのベッドのおばあちゃんと
すごくなかよくなったんだ。
ぼくがおならをぶーーってして、ひとりで起きれるようになると
みかんをむいてくれたり、あみだくじをして、当たったら
おやつをくれたりしてくれた。
いっしょになぞなぞしたり、あやとりとかもしたなあ。
おばあちゃんはいつもニコニコわらってて、いつもぼくの
あたまをなでてくれるんだ。
おばあちゃんは心臓がわるいんだって。
でもあんせいにしていればしんぱいないんだって。
ぼくのとこにはお見舞いのひとが来てくれてたけど
おばあちゃんのところには来てたかなあ?
まいにち、まいにち、おばあちゃんとあそんだけど
ぼくがたいいんする日が来たんだ。
おばあちゃんはとてもかなしそうだった。
ないてあたまをなでてくれた。
ぼくもかなしくなって、なみだが出そうだったけど
しんぼうしたよ。
びょうしつを出てね、ろうかに出てもおばあちゃんは
いつまでも手をふってた。
そんなおばあちゃんが亡くなったと聞いたのは
おさーんが退院してからそんなに日は経ってなかった。
母からそれを聞いたときは、信じられなかった。
人が「死ぬ」っていうのが、まだどういうことか
分からなかったんやろね。
今もその病院はあって、たまに風邪をひいたりすると
行ったりするけど、もう、入院施設はなくなってる。
だから、当時の病室もいまは点滴するときだけに使われてる。
たまーに、そうやなあ、熱が出て布団に横になってるときとか
今でもおばあちゃんのことを思い出すんだなー。
ちっちゃいころの、ちょっと悲しいお話でした。