実話だ。

少し前、スーパーへいった。

正直、余り予算がない。他にも行って、買いたい物が2、3ある。

(これぐらいかな?よいしょっと)

適当に見繕って、買い物籠へとぶち込んでゆく。

 

終えてレジの列へと並ぶ。

結構混んでいて、4、5番目ぐらいの順繰りだ。

様々なモノが呼ぶ。激安、と書かれた好物のお菓子が、わたしの心を惑わせる。

(いやいや)

断腸の思いが、そこかしこに拡がって来る。

順番が来た。

(千円ぐらい、だったらいいな)

願う。

「千円です」

願いが叶う。財布を開(あ)ける。確認する。と、一万円。一万円が一枚だ。

「じゃっ、丁度の一万円で」

「はい。では、9千円のお釣りです。ありがとうございました」

 

丁度千円の買い物をし、ぴったり一万円を支払って、ジャストミートで9千円のお釣りである。

福沢さんは消えたけど、樋口さんが一枚に、野口さんは何と4人。

一人暮らしから、五人暮らしへ。賑やかになったのはいいけれど、生活費だって掛かりますなぁ。

と、直ぐに樋口さんはグレてしまい、積み木崩しへ。家出した(つまり、使ったわけね)

 

長い長い、買い物生活の中で、こんなの初めて。初めての経験だ。

電子マネーで支払う人もあるけれど、どうこうしたって出来っこない。

 

その時の印象が強いらしい。

以降、その時のレジの人が、店内でわたしを見ると、思い出したように意識するのが、

ちょいとばかりに気まずい感じがしてしまう。