ドイツからみた世界「蜘蛛 黄金の湖/ダイヤの船」 | 翔ぶガ如く

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中抜けしつつブログ12年目。

12年経つと人間やれる事とやれない事に気がつくのよ。

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フリッツ・ラングが1919~1920年の間に撮った「蜘蛛 黄金の湖/ダイヤの船」を観た。

 いわゆる冒険活劇の原点をフィリッツ・ラングがドイツ時代から作っていた。
第一部の「黄金の湖」ではインカ帝国の黄金を巡る活劇。
第二部の「ダイヤの船」では中国明朝時代のダイヤを巡る活劇。

しかし単なる冒険活劇ではなかった。

■元ネタ
第一部の「黄金の湖」では、黄金を巡る攻防戦。

黄金を巡り仲間内で争いをし合うという描写は、ジョン・ヒューストンの「黄金」を思い出した。
ジョン・ヒューストン版の元ネタはココからだろう。

太陽を崇める狂信的な集団なんて「インディジョーンズ/魔宮の伝説」はこれが元ネタでしょう。


■恐怖
活劇を通して描かれるのは、未知の力への恐怖だ。

第一部の「黄金の湖」では、狂信的民族だし

第二部の「ダイヤの船」では、地下世界の中華街が出てきて、ここを牛耳るのは中国人。

後半になるとインド人の暗殺者が出てくる。

ドイツにとってアジアは未開で未知の脅威だったのだろう。

当時のドイツの敵は連合国である。とくに白人連中。

劇中に「外国からアジア諸国を開放する」とのセリフが出てくるが
これはドイツの大義名分だろう。


1918年にドイツが降伏した翌年に本作が作られた事を考えると感慨深い。

そして何よりも脅威だったのが、全世界的に活発化してきたフェミニズム

本作で象徴的に出てくるのが
主人公のケイ・ホーン(カール・デ・フォークト)に
敵対するスパイダーズの女ボス、リオ・シャ(レッセル・オルラ)。

煙草をプカプカ吸い、ズボンを吐き、男相手に堂々と張り合う。

これはフェミニズムへの恐怖だ。