変な奴って思われるだろうけど、もう一度君に「頭弱いね」って言われたい。



窓が今にも破れそうな音を出し雨に打たれてる。天気予報士は記録的な猛暑になると断言していたのに記録的な大雨になった。制服を早めに夏服に替えてきたのに無駄になった。突然の雨でびしょ濡れになり体が冷えて朝から憂鬱。最悪だ。
「帰りたい…」そう駄々をこねるのは隣の席の飛鳥だった。

仁「飛鳥も天気予報士に惑わされたか?お前はまだ濡れてないだけマシだよ。おれなんか、ほら?」

立ち上がって濡れついることを自慢するかのようにみせつけた。

飛鳥「相変わらず仁は頭弱いんだね、折りたたみ傘くらい普通もってくるでしょ。気楽でいいなぁ」
仁「なんだよ、普段バックすら持ってないおれが傘を持ってるわけないだろ?幼馴染なんだからもうちょっと優しくしてくれよ。」
はいはい、と適当にあしらわれた。彼女は小鳥遊 飛鳥。小学2年生の春に俺の家の隣に越してきてからよく話すのだが、飛鳥は誰にも心を開かないと言うか、正直俺以外と話してるところを見たことがない。俺と飛鳥は高2の今まで田舎の私立の学校でほとんどクラス替えなく、小、中、高で計3回。その3回とも飛鳥とは同じクラスだった。俺は誰とでも話せるタイプで人見知りとか感じたことなかったけど飛鳥は今まで他の人と話してない。なんでかは聞かなかった。飛鳥が引っ越してきて約10年、俺は飛鳥の父親を見たことはなかった。そこに原因があることなんて言うまでもない。人には触れてほしくない話題もあるのだから。いつも通り飛鳥は窓の外を眺めてた。

仁「いつも窓を眺めてるけどなんかみえんの?それと今日俺の母さんが飛鳥呼んでこいだってさ、最近服を作るのにこってるらしくてさ、着てほしいみたい。」

飛鳥「窓があるとないのとでは、観える世界が違うと思うの。頭の弱い仁には分からないだろうけどさ。」
聞かれてることは訳がわからなかったけど10年間も頭が弱いと言われ続けてるから正直もう慣れた。その言葉を聞いてもなぜか悪い気はしなかった。

仁「窓になんの重要性があるかなんて俺にはわかんねえけど、観える世界は人それぞれ違うんじゃね?飛鳥の目にうつってる世界は俺にはみえないけど、俺のみえてる世界も飛鳥はみえないじゃん?」

飛鳥「仁もたまには良いこと言うんだね。やっぱり仁には話しておくべきかな…実は」
肝心なところでチャイムがなり担当の教師がきた。やっぱりいいと言わんばかりの目をしてその日それいこう学校では口を聞かなかった。終わりの予鈴がなる。

仁「じゃあ17時におれんちきてな!母さん飛鳥に服着てもらうのすげー楽しみにしてっから」

そう言うと飛鳥はコクリとうなづき、家に入って行った。飛鳥は17時になっても家にはこなかった。