ヒフミヨイの「イ」
イノチ、イキ
とてもパワフルな「イ」


目次
* 「イ」のパワー
* 絡める手
* あり得ない離婚
「イ」のパワー
結婚式場にはキャンセル料を150万円支払った。
私の結婚式だけれど、そんなことはどうでもよかった。
人前が嫌いな私はホッとしたくらい。

トイレはベットに看護師さんが来てくれた。
寝返りも怖くてできなかった。
大丈夫!という気持ちと、ダメかもしれない!という「気持ち」のシーソーゲーム。
・・・・・・
結婚式を来週に控え、生暖かいものが足をつたった。
見れば真っ赤だった。
あ、やっぱりな。って思った。
この私がお母さんになれるはずがない。
半端じゃない出血量に何も考えられなかった。
「人事を尽くして天命を待つ」と言う言葉を先生は残してくれたらしい。
今もだけれど当時も狂ってた。
自分の中の神様との約束。
朝の習慣に冷たい水を体に浴びた。
それは赤ちゃんが宿ってからも。
元夫はそれが原因だと言う。
私は結婚式が嫌でしかなかったことが原因に思う。
そんな中、元夫は霊能者さんからこの子の声を聞いたらしい。
「お父さん、僕生まれたい!」と。
退院するとき、本当に男の子だと判明した。
奇跡的にイノチは宿り続けてくれた。
二人目もカタチは違えど、生死を彷徨ったと同時に「イ」のパワーを知った。

ただ、本当にあなたはお母さんになる覚悟はありますか!?
そんな問いかけをされたような出来事だった。
絡める手
アマウツシの男性とは外でも一緒に歩くようになった。
エネルギー交流からごく自然に手を繋いだ。というより手と手を絡めあった。

子供が生まれる前には元夫とも手を繋いだ。
子が生まれ、子が大きくなればなるほど手を繋ぐことは無くなった。子への愛を比べるものではないけれど、子に重きを置くようになった。
街の中をアマウツシの男性と絡めた手と手が、同時にこの子も頭をよぎる。
男の子と女の子を育てれば、男の子の可愛さを知り、女の子の鋭さを知る。
男の子も女の子も母の私を愛し守ってくれるのが伝わる。でも、二人が「同じ」かといえば「違う」。男の子には棘がないという表現があうのかな。
このアマウツシの男性との手と手の絡まりは、この子との距離を遠いものにしていくようにも思う。
この世は二つの極限、陰陽、正反、男と女 でできているという。
子の愛、子への愛が、アマウツシの男性とは全く関係ないはずが、反対側にあるように感じられていく。
あり得ない離婚
近所のママ友たちから、この子の恋愛事情を聞かされたことがあった。そんなのどうでもいいでしょ!とママ友たちにショックだったのか、この子にショックだったのかわからない。ご近所さんの目に意識を向けてしまったのは確かであるし、怖いけれど嫉妬もあったのだろうか。
私自身の恋愛への固く閉ざされた勝手な思いを、この子にも伝えてしまった。親の手元を急遽離れる出来事に、恋愛をしている場合じゃないと伝えてしまった。
そんな過去もありながら、その後、当時は全く想像しない、絶対にない「離婚」を選択した。
不倫をした結果、その男性と結ばれ一緒に暮らす友人は、成人を迎えた男のお子さんに、今どこに暮らしているかということさえ伝えていないという。
そんなこと・・と別世界に思っていたけれど、人生後半、恋愛を楽しむのもあるのかなと思う。
とはいえ、手を絡めてまでも、その先に進むことは想像できなかった。
アマウツシの男性は「あなたを輝かせることが役目」と言い続けた。セックスレスでの結婚生活が成り立つと感じたように、手を繋ぐことも十分に、私は輝くのだろうと考えているのだろうか。
これまでの人生を振り返り、社会の常識を生きることはできない自分に気づいていながら、性には常識を生きようとしている。