居酒屋ぜんやの花暦シリーズ第9弾。
産後の肥立ちが悪いお妙に代わり、台所に立つことになったお花。

そんな折、台所方と思われる侍が店を訪れます。

 

この侍の存在が、ぜんやの空気に小さな波紋を広げていきます。お花はもちろん、只次郎やお妙、さらには熊吉や、升川屋の11歳の若様・千寿までもが気を揉むことに。

 

侍の口から語られる「目黒のさんま」の逸話も興味深く、将軍家では庶民が日常的に食べている美味しいものが口にできないという身分差が浮かび上がります。侍が作る秋刀魚の煮つけも骨が丁寧に取り除かれるなど、庶民が「骨までほろりと食べる旨さ」とはまた違う世界。お花や江戸の庶民の暮らしとの価値観の差が自然に描かれていました。


今回の出来事はぜんやにとってちょっとした事件でしたが、無事に収まってほっとしました。今巻も、江戸の人情と、締め鯖を軽く炙ってお茶漬けにするなど、思わず食べたくなる料理が満載でした。お妙さんの体調が心配ですが、次巻では元気な姿が見られることを期待しています。