信用金庫の礎を築いた小原鐵五郎と、

その理念を引き継ぐ城南信用金庫を描いた作品です。

 

中小企業に寄り添う信用金庫は、当初GHQからも大蔵省からも理解されませんでした。しかし鐵五郎の凄まじい活動によって信用組合から信用金庫へと発展し、戦後の中小企業を力強く牽引していきます。彼はビジョンを示し、銀行とは成り立ちも理念も異なることを声を大にして訴え続けました。その志が後に受け継がれていくことは、大蔵省の反対を押し切って販売開始された「懸賞付き定期預金」が大ヒットしたことからも明らかです。

 

もちろん、城南信用金庫を私物化しようとする者も現れました。しかし小原イズムを受け継いだ人々がしっかりと浄化し、組織の健全性を守り抜きます。さらに、鐵五郎を支え続けた妻・てうの内助の功もきらりと光り、物語に温かみを添えています。

 

信用金庫の歴史と理念、そして人間ドラマが交錯する本作は、金融の枠を超えて「人が人を支える力」を描いた作品でした。楽しく読むことができ、読後には深い余韻が残ります。