銀座の老舗文具店の店主・宝田硯(けん)。
気持ち良い優雅な所作、お客様に寄り添う心遣いや機転は、すがすがしいものです。小学生のころから店の掃除をしたり、老舗ホテルで働いた経験に拠るものでしょうが、宝田硯に染み付いたものなのでしょう。それでいて「くすっ」と笑ってしまうユニークなところもあります。
・母と何故かギクシャクしてしまう中学2年の円谷花音
・充実している友人を傍目に、なんで私だけっと、家事・育児に追われる布川瞳
・中学時代の棚田先生に恩義を感じる、貧困ゆえ修学旅行を辞退した一木矢的
・若旦那を支え続け、老舗和菓子店の役員・職人を勇退する宮さん
・手柄を他人に譲ってしまう勝田優と、勝田の能力を活かしたい元部下の森村龍子
読んでいると懐かしい気持ちになったり、アナログな文具もいいなぁと思ったり、そんなアイデアで背中を押してくれるなんてと驚いたり。この本の大ファンになっています。ドラマでやってくれないかなぁ~。
なお、硯と良子さんの恋の進捗はありませんでした。
他人のことならキレキレなアイデアと行動力なのに…。