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林のダイアリーとブログ小説

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日本橋ヨヲコという漫画家が漫画家以前に人間として日々思考している感性の結晶は、むしろ『少女ファイト』の節々に見出される。

この作品は、日々の雑感の表現ではなく、むしろ特定のテーマを掘り下げようとしたものである。

そのテーマこそは、一言で謂えばプロ論なのであるが、日本橋がこのテーマを選んだのは、'00年代にマスコミレベルでやたらと働くことの意味が問われ始めたことと無関係ではあるまい。

国力衰退のため、人格を含め包摂してくれる雇用はなくなったが、まだ‘溜め’はある。だからこそ、この漫画が世に出た当時は働くことの意味が問われたし、問う余裕があった。
プロフェッショナルは、研ぎ澄まされた自己の視点で世界を捉え、不特定多数の他者の視点でそれを表現する。

他者を共感させるためには、まず世界の裡に自分自身であらねばならない。孤独に耐えぬいて確立された自己は、製作過程でまず同志たる他者を巻き込み、作品でより多くの他者を魅了する。製作過程では理屈より実利が優越する。作品は愛おしみ育むべき子である。そしてそれは反復する。