∂雪国
∂『雪国』(ゆきぐに)は、川端康成の長編小説で、名作として国内外で名高い。雪国を訪れた男が、温泉町でひたむきに生きる女たちの諸相、ゆらめき、定めない命の各瞬間の純粋を見つめる物語。愛し生きる女の情熱の美しく哀しい徒労が、男の虚無に研ぎ澄まされた鏡のような心理の抒情に映されながら、美的に抽出されて描かれている。1935年(昭和10年)から各雑誌に断続的に断章が書きつがれ、初版単行本刊行時の1937年(昭和12年)7月に文芸懇話会賞を受賞した。その後も約13年の歳月が傾けられて最終的な完成に至った。
∂雪国 映画
川端康成の原作を「「廓」より 無法一代」の八住利雄が脚色、「猫と庄造と二人のをんな」の豊田四郎が監督した文芸篇。撮影は「殉愛」の安本淳。主な出演者は「あなた買います」の岸恵子、「忘却の花びら」の池部良、「世にも面白い男の一生 桂春団治」の八千草薫、「雨情」の久保明、森繁久彌。ほかに加東大介、東野英治郎、狼花千栄子、多々良純など。
∂映画のストーリー
国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国であった--その雪に深く埋れた名もなき温泉場に日本画家の島村は、昨年知り合った駒子が忘れられずに訪れた。駒子は養母とその息子行男の治療費を稼ぐため芸者になっていた。彼女の義妹葉子は島村と駒子の仲を憎しみの眼で瞶めた。だが、二人の胸には激しい愛の炎が燃え立っていた。二人とも、とうてい結ばれぬ恋だとは覚っていたが、年に一度の逢う瀬が、いつしか二人にこの上ない生きがいとなってしまった。島村には東京に妻子がいた。駒子には養うべき人々と、そのための旦那をもっていた。駒子は島村と一緒に浮き浮きして楽しそうだった。しかし、夜、島村と二人きりになると、駒子はままならぬ二人の運命の切なさに身もだえするのであった。その冬島村が帰京する日駒子は駅に見送りに来ていると、葉子が行男の急変を知らせに来たが、人の死ぬのを見るのはいやと、家とは逆の方向に歩いていった。次の年、約束より遅く島村は来た。すでに養母も行男も死んでいなかった。駒子は旦那とも手を切っていた。そんな彼女に島村は、妻にも話したから一緒に東京へ行こうといった。駒子はその彼を呆然と見つめていたが、あんたは年に一度来る人……といって突伏した。翌晩、酔った駒子が島村の部屋に入って来た。抱き寄せる島村に駒子は悲しく無抵抗であった。翌朝、島村は駒子に、この雪国に来ないことがせめても君への謝罪だといった。愛の激しさ、厳しさ、哀しさを噛みしめながら二人は別れた。その夜、映画会をやっていた繭倉が火事になって、葉子は顔中大火傷を負った。--島村は次の年も、その次の年も姿を見せなかった。駒子は葉子を一生の荷物として、山袴にゴムの長靴をはいて雪の中を今日もお座敷へ急いでいた。
作品データ![](https://stat.ameba.jp/user_images/20200625/06/808something2love/98/d2/j/o0204014414779319991.jpg?caw=800)
原題 | Snow Country |
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製作年 | 1957年 |
製作国 | 日本 |
配給 | 東宝 |
上映時間 | 133分 |
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スタッフ
製作 | 佐藤一郎 |
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原作 | 川端康成 |
脚色 | 八住利雄 |
監督 | 豊田四郎 |
撮影 | 安本淳 |
音楽 | 芥川也寸志 |
美術 | 伊藤熹朔 、 園眞 |
照明 | 森弘充 |
録音 | 藤好昌生 |
と雪
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