∂多田富雄 からだの声をきく 

(STANDARD BOOKS) (日本語) 

多田 富雄 (著)

 

 

 

          

 

∂多田富雄 からだの声をきく (STANDARD BOOKS) (日本語) 単行本 

多田 富雄 (著)


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∂読者レビューから引用・編集

STANDARD BOOKSは、「科学と文学の双方を横断する知性を持った科学者・作家を1人1冊で紹介する随筆シリーズ」。これまでも、岡潔、牧野富太郎など発行されてきた。

 

多田富雄は、科学者(免疫学者)であると同時に、「能楽」にたいへん造詣が深かった。それゆえ、STANDARD BOOKSシリーズに、取りあげられるに足る人物である。
多田の刊行物としては、藤原書店から『多田富雄コレクション』(全5巻)が出ているが、本書にはそのエッセンスが収められているといっていいのだろう。

評者は、はじめて本書で多田の著作に触れる機会を得たが、大学時代「能楽堂にいりびたり」「ひどく人生に悩んで」「かけもちで一日二ヵ所のお能を見たこともあった」人物、しかも後に「鼓方大蔵流の達人の稽古を受けるようになった」方ならではの、能楽評(舞台、鼓、面など)を知ることができる。

本書収録の「能を観る」には、観能に出かけ、客席に座をしめ、シテ方の出を待つあいだから終演に至るまでのことが、たいへん魅力的に記されている。実際、これは見にいかねばなるまい、と思わせるだけの力がある。記す本人が、それだけの魅力を実感していなければ到底書けない文章である。
『能』への多田の関心は、専門の医学や社会事象にも反映されている。「能」が死や「亡心(亡霊)」と深くかかわるように、本来「生」を取りあつかい「死が否定されていた医学生物学の世界」にあって、多田の死への(それはつまり「生」への、と即言いかえることができるが)眼差しは深い。

その点、「アポトーシス」に関する論議は興味深い。〈アポトーシスは、外力によって細胞が殺されるのではなくて、細胞が自ら持っている死のプログラムを発動させて死滅していく自壊作用による死である。「自死」というような訳語もしばしば見られる。〉と説明したのち、具体例などあげながら、結びで次のように述べる。

〈したがって、細胞の利他的な死があったからといって、集団の中での個人の生死や、組織の中での人間の生き方に安易に投影してはいけない。そこには、もっと上の階層の問題としての哲学的な死の概念があり、それは下の階層である細胞の死と同じ平面では扱えない。(「死は進化する」)〉。そのことは、別のエッセイ(「超システムの生と死」)で、平明にこう論じられる。〈同様に、細胞のアポトーシスに見られたルールを個体の生命にまで広げて、ことに人間社会における適者と不適者の選別に投影するなどというのは、生命の階層性を無視した論理である。会社組織において一握りのエリートは以外は、不況下では脱落してゆけばよいなどという論理は、科学の仮面を被った愚かな俗論である。〉
本書では、多田がスペイン、軍政下のミャンマー、イタリアを訪問したときの経験・考察も記されている。それもまた、興味深い。
(以下目次) 科学者の野狐禅 / 手の中の生と死 / 人間の眼と虫の眼 / 甲虫の多様性、抗体の多様性 / 風邪の引き方講座 // ファジーな自己(行為としての生体) / 超(スーパー)システムの生と死 / 死は進化する // 能を観る / キメラの肖像 / 記憶を持つ身体 / 里のカミがやってくる / 面を打つ / 裏の裏 / 春の鼓 // からだの声をきく / ビルマの鳥の木 / ゲノムの日常 / インコンビニエンス・ストア / 鳴らない楽器 / 日本人とコイアイの間 / 老いの入舞 // オール・ザ・サッドン / 新しい人の目覚め / 理想の死に方 // 生命と科学と美 (理科が嫌いな中学生の君へ) // 著者略歴 / もっと多田富雄を知りたい人のためのブックガイド

 

∂内容紹介

生命とは何かを問い続け、究極の生命表現としての能に行き着いた免疫学の雄の思考を一冊で。STANDARD BOOKS第2期完結

∂内容(「BOOK」データベースより)

自然のルールは、例外なく美しい―生命の仕組みに美を発見した世界的免疫学者の思索。

∂著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

多田/富雄
1934~2010。免疫学者、随筆家、詩人、能作者。茨城県結城市に誕生。千葉大学医学部卒業後、千葉大学医学部、東京大学医学部教授を歴任。1971年、免疫応答を調整するサプレッサー(抑制)T細胞を発見。野口英世記念医学賞ほか、内外多数の賞を受賞。免疫学の先駆者として研究をリードした。また、多田が示した免疫における「自己と非自己」「超システム」という概念は、科学の枠を超えた、生命の根源に迫る哲学的な問題であり、思想界にも大きな影響を与えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 

 

 

 

 

 

  

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∂Lyn  

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