∂代表的日本人 

内村鑑三

 

    

 

 

∂キリスト教徒の内村鑑三が、著書の情報を自身の知識と思想と宗教・宇宙観で再構築して、偉大な五人の日本人の生き様を1895年の日清戦争中に海外に向け英文で発信した『Japan and the Japanese』の1908年改定版を日本語訳した良書。

一.西郷隆盛
二.上杉鷹山
三.二宮尊徳
四.中江藤樹
五.親鸞聖人

『はじめに』で内村鑑三は、我が国民の持つ長所~~私どもにありがちな無批判な忠誠心や血なまぐさい愛国心とは別のもの~~を外の世界に知らせる一助となることが本書の目的であります。と述べている。

その内村が最も尊敬する日本人が西郷隆盛。

文中より、心を動かされた西郷に関する記述と西郷自身の言葉と詩を以下にご紹介する。

・動作ののろい、おとなしい少年の魂にはじめて義務の意識が喚起されたのは、遠縁の一人が、西郷の面前でハラキリをする光景を目撃したことによる、と言われている。

・「天を相手にせよ。人を相手にするな。すべてを天のためになせ。人をとがめず、ただ自分の誠の不足をかえりみよ」

・「法は宇宙のものであり自然である。ゆえに天を畏れ、これに仕えることをもって目的とする者のみが法を実行することができる。……天はあらゆる人を同一に愛する。ゆえに我々も自分を愛するように人を愛さなければならない(我を愛する心をもって人を愛すべし)」

・「文明とは正義のひろく行われることである、豪壮な邸宅、衣服の華美、外観の壮麗ではない」

・「我が家の法、人知るや否や 児孫のために、美田を買わず」

・「人の成功は自分に克つにあり、失敗は自分を愛するにある」

・「命も要らず、名も要らず、位も要らず、金も要らず、という人こそもっとも扱いにくい人である。だが、このような人こそ、人生の困難を共にすることのできる人物である。またこのような人こそ、国家に偉大な貢献をすることができる人物である」

・「真の機会は、時勢に応じ理にかなって我々の行動するときに訪れるものである。大事なときには、機会は我々が作り出さなければならない」

・「まず人物、次が手段のはたらきである。人物こそ第一の宝であり、我々はみな人物になるよう心がけなくてはならない」

・「正道を歩み、正義のためなら国家と共に倒れる精神がなければ、外国と満足できる交際は期待できない。その強大を恐れ、和平を乞い、みじめにもその意に従うならば、ただちに外国の侮辱を招く。その結果、友好的な関係は終わりを告げ、最後には外国につかえることになる」

・道は一つのみ「是か非か」 心は常に鋼鉄 
 貧困は偉人をつくり 功業は難中に生まれる 
 雪を経て梅は白く 霜を経て楓は紅い 
 もし天意を知るならば だれが安逸を望もうか

 

 

∂内容紹介

内村鑑三(一八六一―一九三〇)は,「代表的日本人」として西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮の五人をあげ,その生涯を叙述する.日清戦争の始まった一八九四年に書かれた本書は岡倉天心『茶の本』,新渡戸稲造『武士道』と共に,日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した代表的な著作である.読みやすい新訳.

∂内容(「BOOK」データベースより)

新渡戸稲造『武士道』、岡倉天心『茶の本』と並ぶ、日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した代表的な著作。内村鑑三(1861‐1930)が、奔流のように押し寄せる西欧文化の中で、どのような日本人として生きるべきかを模索した書。新たな訳による新版。

 

 

 

 

 

 

∂Lyn

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