∂Loon Shots

サフィ・バーコール

 

      

 

 

∂「ルーンショット」とは筆者の造語で、最も重要なブレークスルーは、誰からも相手にされない、一見ばかげたアイデアから生まれる、というものである。しかしながら、それは非常に脆く、潰され易い。それをどのように守り、育て、実現するか。或いは「ルーンショット」を連発して来た企業がやがて、それを出せなくなり、衰退し、消えていくのは何故か。

本書はそれを「企業文化」ではなく、物理学的に、モデルを構築し、「構造」で説明出来るかに挑んでいる。
筆者は初期段階でリスクの高いアイデアを出す人を「アーティスト」、堅実に収益を上げている領域を担当している人を「ソルジャー」と呼び、前者を後者から守る必要があると説く。

スティーブ・ジョブスは、最初にアップルを追放される前は、前者に肩入れし、後者との間で溝をつくったことが致命傷となったが、復帰後は両者を等しく重用出来るマネジメントとなっていたことがその後の成功につながったと云われる。
「優れたアイデアは3度死ぬ」と云われ、3度以上の失敗を乗り越えないと「ルーンショット」は生まれないとされる。

日本の三共で、菌類を使ってコレステロール値を下げる取り組みをしていた遠藤章博士の研究は、3度めの失敗を乗り越えられず、彼の論文を読んだ二人の米国人は1985年のノーベル賞を受賞し、その薬(メバコール)はメルクに900億ドルの売上をもたらした(遠藤博士は今日もノーベル賞の候補者)。
「ルーンショット」を実現する組織をリードするに際して、「システムマインドセット」と「アウトカム(結果重視)マインドセット」があるという。後者は、失敗の理由を分析するのに対して、前者は失敗の背後の意思決定のプロセスを精査する。最悪のチームは失敗を全く分析せず、最良のチームは、両方を上手く取り入れる。
世の中を進化させる、或いはビジネスで画期的な商品を創造するには、クレイジーなアイデアを実現する必要があるが、人類の歴史の中で、それがどのように成功し、失敗して来たのか、ということについて、筆者の知識の広さを感じさせる事例の数々もとても参考となる。

 

 

∂内容紹介

★ビル・ゲイツ、ダニエル・カーネマン絶賛! 
★「とてつもなく、とんでもない本」米倉誠一郎・一橋大学名誉教授
★WSJベストセラー、フィナンシャルタイムズ『ベスト・ビジネスブック2019』
など米欧メディアの『ビジネス必読本』に相次ぎ選出! 

ルーンショットとは、「誰からも相手にされず、クレイジーと思われるが、
実は世の中を変えるような画期的アイデアやプロジェクト」を指します。
斬新なアイデア(ルーンショット)を次々と生み出していた組織が、
ある時期から突然、そうしたアイデアを逆に潰すようになってしまう。
企業ではよくある変化です。その原因は、どこにあるのか。
物理学者でバイオベンチャー起業家でもある著者のサフィ・バーコールは、
熱力学の「相転移(そうてんい)」の考え方を用いてこの集団行動の謎をひも解きます。
水の分子は常温(液体の「相(そう)」)だと活発に動き回りますが、
氷点下になると氷(固体の「相(そう)」)になり、動きを止めて整列します。
つまり、摂氏0度を境に「相」が変わるわけです。そのことを相転移と言います。
相転移の要因は、温度です。相が転移すると分子の振る舞いが一変します。
組織も同じように、いくつかの要因(水の場合の「温度」に相当する)によって、
「ルーンショットの相」から「斬新なアイデアを潰す相」へと「相」が転移し、
組織メンバーの振る舞いが一変します(水分子の振る舞いが一変したように)。
実は、相転移が見られるのは、水などの物質や企業だけでなく、
戦争、テロ、ロックコンサート、渋滞、火災など、様々な現象に現れます。
「相転移の科学」がすばらしいのは、相転移を引き起こす要因がわかれば、
相転移が起きる時期の予測や、転移の防止が可能になることです。
本書では、人の組織の相転移と、その制御方法をわかりやく解説しています。

∂出版社からのコメント

■米欧メディアで『ビジネス必読本』に続々選出! 
・アマゾン・ドット・コム『ベスト・ブックス2019(ビジネス・リーダシップ)』
・ブルームバーグ『CEO、起業家に聞く2019年のおすすめ本』
・フィナンシャルタイムズ『ベスト・ビジネスブック2019』
・フォーブス『起業家・エグゼクティブのためのベスト・マネジメントブックス2019』
・インク『起業家が読むべきベスト・ビジネスブックス2019』
・マネジメント・トゥデイ『トップ・ビジネスブックス2019』
・ニューズウィーク『2019年夏のベスト・ノンフィクション』
・テッククランチ『2019年の必読書』
・スライブ・グローバル『トップ・リーダーシップブックス2019』
・ビジネス・インサイダー『全員が読むべき14冊』
・ワシントンポスト『2019年リーダーシップブックス10冊』
・ネクスト・ビッグ・アイデア・クラブ『今年の8冊 (春)』
・ビル・ゲイツ『傑出した3冊』
・ウォール・ストリート・ジャーナル・ベストセラー

■本書を推薦します! 
・ビル・ゲイツ
・ダニエル・カーネマン
・マルコム・グラッドウェル
・ダニエル・ピンク
・アダム・グラント
・スーザン・ケイン
・ティム・フェリス
・シッダールタ・ムカジー

 

 


∂出版社より

ルーンショットA4パネル

 

 

 

 

∂Lyn

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