∂LIFE 3.0 

マックス・デグマーク

 

               

 

 

∂読者レビューから引用・加筆

2019年6月26日放映のNHK「超AI入門特別編 世界の知性が語るパラダイム転換 第一夜;脳と宇宙がつながる時」https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92225/2225691/index.html

を見て、著者マックス・テグマークの自信に満ちた語り口に惹かれ、彼の著作を探したところ、マックス・テグマーク(2015), 谷本真幸(2016)『数学的な宇宙 究極の実在の姿を求めて』(講談社)を見つけることができた。

https://www.amazon.co.jp/dp/4062169622?_encoding=UTF8&isInIframe=0&n=465392&ref_=dp_proddesc_0&s=books&showDetailProductDesc=1#product-description_feature_div
AI化する社会への警告の書としては既に、ニック・ボストロム著(2014)、倉骨彰訳(2017)『スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運』(日本経済新聞出版社)

 

 

があり、テグマークもこの書を意識している。ボストロムは悲観的な予想をするが、テグマークは「留意を伴う楽観論」を提唱する(p.478)。例えばAI化の近未来を扱う第3章では、AIが安全や収入といった我々の基本的欲求を満たすのは、政治的意思がある限り比較的容易であると予想する(p.450)。
AIというテーマは、まず第2章で物質が知能(複雑な目標を達成する能力;表1.1より)を持ち得るし、現に持っていることが検討される。さらに知能爆発(シンギュラリティ)が起こり人間の能力をはるかに超える(第4章)。そして人間とAIの関係が12のシナリオにまとめられる(第5章)。ここまでは必ずしもAIに意識がなければならない訳ではない。無意識でも情報処理は可能である。
宇宙数学者が、なぜAIなのか。それは脳もひとつの宇宙だからである。本書も宇宙論が登場するが(第6章)、AIが脳と同じように意識を持つかどうか、この点が重要なテーマとなる。なぜなら、「この宇宙が意識的存在に意義を与えるのではなく、意識的存在がこの宇宙に意義を与える」からだ(p.450)。無数にある宇宙のうち、人の住むこの宇宙があるのは、人に意識があるからなのだ。意識的存在とわざわざいうのは、AIも意識を持ちうるからだ。
 彼の紹介する宇宙論はなかなか面白い。この宇宙の熱力学の第二法則による熱的死は、生命によって加速される(P.364)。そして、その生命は周囲をもっとちらかすことで、自身の複雑さを維持・増大させている。これを「散逸駆動適応」というそうだ(P.362)。
生命を守ることは宇宙の最終目標と一致する。従って、我々の生命をAIが脅かすことがあってはならない。ところがAIにはブラックボックス問題といえるような欠点がある。ニューラルネットワークを利用した深層学習(ディープラーニング)が、もし失敗したとしてもその原因が分からないのだ。安全なAIを作るのにブラックボックスがあってはならない。
 AIの真の危険性は、敵意ではなく能力にある(p.373)。もしAIが目指す目標が人間の目標と違ったとき、AIの能力が脅威となる。そうならないために目標を合致させる必要があるのだ。AIに目標の選択、つまり倫理観があればよいのだが、AIに利用できる定義可能な目標はひとつもない。しかし、もしAIが意識を持てば、素晴らしい未来を築くのに役立つだろうと(p.404)、最後の章で意識が考察される(第8章)。

 

∂内容紹介

超知能AIが出現したら何が起こるか――AI開発の指針「アシロマAI原則」の取りまとめに尽力し、AI安全性研究を牽引する著者が、来るべき世界の姿と生命の究極の未来を考察する。労働、法律、軍事、倫理から、生命と宇宙、機械の意識まで多岐にわたる問題を論じた全米ベストセラー。31か国で刊行。

「この時代の最も重要な議論に参加したければ、テグマークの示唆に富む本を読めばいい」
──スティーヴン・ホーキング

イーロン・マスク、エリック・ブリニョルフソン、レイ・カーツワイル、ニック・ボストロム、スチュワート・ラッセル、マーティン・リースら推薦!

NY Times Bestseller
The Times Books of the Year 2017
Daily Telegraph Books of the Year 2017
バラク・オバマ Favorite Books of 2018
ビル・ゲイツ 10 Favorite Books about Technology

★NHK Eテレで今年放映された番組「超AI入門特別編(全5回)」の、第1回目(6/26)と5回目(7/31)に著者が出演しています。

【目次】

プロローグ オメガチームの物語
最初の数百万ドル/ 危険なゲーム/ 最初の数十億ドル/ 新たなテクノロジー/ 権力掌握/ 統合

第1章 いまもっとも重要な議論へのいざない
複雑さのおおまかな歴史/ 生命の3つの段階/ 論争/ 誤解/ この先の道筋

第2章 物質が知能を持つ
知能とは何か/ 記憶とは何か/ 計算とは何か/ 学習とは何か

第3章 近未来: ブレイクスルー、バグ、法律、兵器、仕事
ブレイクスルー/ バグ VS 堅牢なAI/ 法律/ 兵器/ 仕事と賃金/ 人間レベルの知能

第4章 知能爆発
全体主義/ プロメテウスが世界を支配する/ ゆっくりとした立ち上がりと多極的なシナリオ/ サイボーグとアップロード/ 実際には何が起こるのか

第5章 余波: 1万年先まで
自由論者のユートピア/ 善意の独裁者/ 平等主義者のユートピア/ 門番/ 保護者としての神/ 奴隷としての神/ 征服者/ 後継者/ 動物園の飼育係/ 1984/ 先祖返り/ 自滅

第6章 宇宙からの恵み: 今後10億年とさらにその先
資源を最大限に活用する/ 宇宙への入植によって資源を確保する/ 宇宙のヒエラルキー/ 展望

第7章 目標
物理学: 目標の起源/ 生物学: 目標の進化/ 心理学: 目標の追求とそれに対する反抗/ 工学: 目標を外部に委ねる/ 友好的なAI: 目標を合致させる/ 倫理: 目標を選ぶ/ 究極の目標

第8章 意識
どうでもいい問題なのでは/ 意識とは何か/ 何が問題か/ 意識は科学の範囲を超えているのか/ 意識に関する実験的な手掛かり/ 意識に関するいくつかの理論/ 意識をめぐる論争/ AIの意識は何を感じるか/ 意義

エピローグ FLIチームの物語
FLIの誕生/ プエルトリコでの冒険/ AI安全性研究を主流にする/ アシロマAI原則/ 留意を伴う楽観論

 

∂内容(「BOOK」データベースより)

「我々の未来は我々が作るものだ」現在考えうる超知能AI出現後の各シナリオを検討する。AI開発の指針「アシロマAI原則」の取りまとめに尽力し、AI安全性研究を牽引する著者が、来るべき世界の姿と生命の究極の未来を考察する。労働、法律、軍事、倫理から、生命と宇宙、機械の意識まで多岐にわたる問題を論じた全米ベストセラー。31か国で刊行。

∂著者について

【著者】マックス・テグマーク(Max Tegmark)
マサチューセッツ工科大学(MIT)教授、理論物理学者。宇宙論の研究者だったが、超知能AI による人類絶滅の危険性に注目し、近年はAI研究に軸足を移している。2014 年に、AI の安全な研究を推進するための非営利団体「生命の未来研究所(Future of Life Institute, FLI)」を共同で設立。2017 年に発表された「アシロマAI 原則」の取りまとめを同団体が先導した。2019 年6 ~ 7 月にNHK E テレで放送された「超AI 入門特別編」に出演。邦訳された著書に『数学的な宇宙――究極の実在の姿を求めて』(講談社、2016年)があり、数学的存在そのものが宇宙であるとする斬新な「数学的宇宙仮説」を論じて脚光を浴びた。理論物理学者としては、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)との銀河団に関するコラボレーションが、「サイエンス」誌の「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー2003」を受賞している。

【訳者】水谷 淳(みずたに・じゅん)
翻訳家。訳書にディヴィス『生物の中の悪魔』(SBクリエイティブ)、バラット『人工知能 人類最悪にして最後の発明』、チャム&ホワイトソン『僕たちは、宇宙のことぜんぜんわからない』(以上、ダイヤモンド社)ほか多数。著書に『科学用語図鑑』(絵=小幡彩貴、河出書房新社)がある。

∂著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

テグマーク,マックス
マサチューセッツ工科大学(MIT)教授、理論物理学者。宇宙論の研究者だったが、超知能AIによる人類絶滅の危険性に注目し、近年はAI研究に軸足を移している。2014年に、AIの安全な研究を推進するための非営利団体「生命の未来研究所(Future of Life Institute,FLI)」を共同で設立。2017年に発表された「アシロマAI原則」の取りまとめを同団体が先導した。2019年6~7月にNHK Eテレで放送された「超AI入門特別編」に出演。邦訳された著書に『数学的な宇宙―究極の実在の姿を求めて』(講談社、2016年)があり、数学的存在そのものが、宇宙であるとする斬新な「数学的宇宙仮説」を論じて脚光を浴びた。理論物理学者としては、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)との銀河団に関するコラボレーションが、「サイエンス」誌の「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー2003」を受賞している

水谷/淳
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 

 

 

 

 

∂Lyn

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