∂眺海の館 

ロバート・ルイス・スティーブンソン

 

              

 

 

∂読者レビューから引用・加筆

中・短編集。出色は巻頭の表題作「眺海の館」。スティーブンソンと言えば冒険ロマンの「宝島」、怪奇小説の「ジキル博士とハイド氏」と2ジャンルに不朽のマスターピースを持つが、この中編は純血の宝島路線と言える傑作。
荒海に臨む、リンクスと呼ばれる砂地の草原と人間を数分で飲み込む恐ろしい底なし沼のような流砂地帯のただ中にそびえる不気味な「眺海の館」。上流階級に属しながら世を捨て、放浪者となった若者が昔の親友を懐かしんで訪れた館は、館の主ノースモアとイタリアの秘密結社の暗殺部隊との暗闘の場となっていた。彼を魅了する謎の美女、多くの人々の怨嗟と血に汚れた大金、ひたひたと館に迫る姿なき影、どこからともなく響いてくる「裏切り者!裏切り者!」の絶叫・・・・・
子供の頃「宝島」を夢中になって読み耽った記憶をお持ちの方なら必読。また卑しさと凶暴性、高貴な紳士の誇りと友情という2面性を持つノースモアの魅力的な造形は、あの名作に「ジキル博士とハイド氏」のモチーフを持ち込んだとも言える。
残念なのは「眺海の館」が素晴らしすぎて、続く7編がどうしても物足りなく感じられてしまうこと。20本のショートショート集のような「寓話」や創作民話のような「宿無し女」など、単独で読めば秀作もあるのだが・・・内容紹介

冒険小説の名作「宝島」の作者として知られるイギリスの文豪ロバート・ルイス・スティーヴンソンが遺した珠玉の短編を日本独自編纂した作品集。『新アラビアンナイト』第2巻の全作品を完訳で収めた他、短編「宿なし女」、捻りの利いた掌編「寓話」と「慈善市」の三作品を収録し、巻末には英文学者・井伊順彦氏による詳細な解説を付す。

∂内容(「BOOK」データベースより)

初出掲載誌からの初邦訳となる表題作「眺海の館」の他、没後に見つかったコント「慈善市」(本邦初訳)や40年ぶりの単行本全訳となる『寓話』など、全7作品を収録。日本独自編纂の傑作選!

∂著者について

1850年、スコットランド、エディンバラ生まれ。本名ロバート・ルイス・バルフォア・スティーヴンソン。エディンバラ大学を卒業後、弁護士の資格を取得。結核の転地療養で各地を転々とする傍らエッセイや小説を執筆する。1894年、脳溢血により死去。代表作「宝島」(1883)や「ジーキル博士とハイド氏」(86)は世界各国で古典的名作として読み継がれている。

∂著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

スティーヴンソン,ロバート・ルイス
1850‐1894。本名ロバート・ルイス・バルフォア・スティーヴンソン。スコットランド、エディンバラ生まれ。エディンバラ大学を卒業後、弁護士の資格を取得。結核の転地療養で各地を転々とするなかでエッセイや小説を執筆する。典雅の名文でロマンスの香りあふれる物語を紡ぐ作家。代表作に「宝島」(1883)や「ジーキル博士とハイド氏」(1886)

井伊/順彦
早稲田大学大学院博士前期課程(英文学専攻)修了。英文学者。英国のトマス・ハーディ協会、ジョウゼフ・コンラッド協会、バーバラ・ピム協会の各会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 

 

 

 

∂Lyn

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