∂超高層のバベル 

見田宗介

 

     

 

 

 

∂読者レビューより引用・加筆

著者は、対談によって現代社会の病理を炙り出す。冒頭の対談は、精神分析学者河合隼雄氏との対談である。核家族化により家族の機能が縮小し(家族機能の外部化)、現代社会が抱える機能が増大し、複雑化すると指摘する。姥捨山のエピソードは、複合大家族であれば、食料の不足を家族で協力して助け合い、姥捨山を出さなくても済んだという。核家族化の進行は、他の家族との人間関係の断絶をもたらす。助けを求めることも出来ない。現代社会が抱える諸課題はどんどん山積し、「バベルの塔」と化している。これを止めるのは神しかいない。お勧めの一冊!

 

∂内容紹介

『現代日本の精神構造』(1965年)や『近代日本の心情の歴史』(1967年)で日本と日本人がたどってきた道行きを具体的な事象を使って鮮やかに分析した社会学者は、人々を震撼させた連続射殺事件の犯人を扱う「まなざしの地獄」(1973年)でさらなる衝撃を与えた。その名を、見田宗介(1937年生)という。
続くメキシコ滞在を機に、さらなる飛躍を遂げた社会学者は、「真木悠介」の名を使ってエポックメイキングな著作『気流の鳴る音』(1977年)を完成させる。ここで形を得た人間観と、そこから導かれるコミューンへの憧憬は、独自の理論に結晶していき、数多くの信奉者と、数多くの優れた弟子を生み出した。その成果は、『時間の比較社会学』(1981年)や『自我の起原』(1993年)といった真木悠介名義による労作を経て、ついに『現代社会の理論』(1996年)に到達する。現代の世界に向けられた冷徹と愛情の共存するまなざしは、最新の社会現象についても常に鋭利な分析をもたらし、今なお他の追随を許すことがない。
その思想が、かけがえのない「他者」たちとの対話を源泉にして生まれてきたこともまた間違いのない事実である。対談や座談会は収録の対象としなかった『定本 見田宗介著作集』(全10巻、2011-12年)と『定本 真木悠介著作集』(全4巻、2012-13年)を補完するべく精選された、珠玉の11篇。現代日本社会学の頂点に君臨する著者が望んだ初の対話集がついに完成した。

[本書収録の対話]
河合隼雄 超高層のバベル
大岡昇平 戦後日本を振り返る
吉本隆明 根柢を問い続ける存在
石牟礼道子 前の世の眼。この生の海。
廣松 渉 現代社会の存立構造
黒井千次 日常の中の熱狂とニヒル
山田太一 母子関係と日本社会
三浦 展 若い世代の精神変容
藤原帰一 二一世紀世界の構図
津島佑子 人間はどこへゆくのか
加藤典洋 現代社会論/比較社会学を再照射する

交響空間――あとがきに(見田宗介)

∂内容(「BOOK」データベースより)

日本を代表する社会学者、見田宗介氏。『現代日本の精神構造』や『近代日本の心情の歴史』で日本と日本人がたどってきた道を鮮やかに分析した見田氏は、連続射殺事件の犯人を扱う「まなざしの地獄」で衝撃を与えた。そして、カルロス・カスタネダとの邂逅によって飛躍を遂げると、「真木悠介」名義で『気流の鳴る音』や『自我の起原』など、歴史に残る名著を生み出していく。この稀代の知性の根底には、かけがえのない他者たちとの「対話」があった。著者自身が精選した珠玉の一一篇から成る、初の対話

∂著者について

見田 宗介
1937年、東京生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。東京大学大学院総合文化研究科教授、共立女子大学家政学部教授を歴任。東京大学名誉教授。専門は、社会学。
主な著書に、『近代日本の心情の歴史』(講談社(ミリオンブックス)、1967年。のち、講談社学術文庫、1978年)、『現代日本の心情と論理』(筑摩書房、1971年)、『宮沢賢治』(岩波書店(20世紀思想家文庫)、1984年。のち、岩波現代文庫、2001年)、『現代社会の理論』(岩波新書、1996年。改訂、2018年)、『現代社会はどこに向かうか』(岩波新書、2018年)ほか。
真木悠介名義の著作に、『気流の鳴る音』(筑摩書房、1977年。のち、ちくま学芸文庫、2003年)、『時間の比較社会学』(岩波書店、1981年。のち、岩波現代文庫、2003年)、『自我の起原』(岩波書店、1993年。のち、岩波現代文庫、2008年)ほか。
著作集として、『定本 見田宗介著作集』(全10巻、岩波書店、2011-12年)、『定本 真木悠介著作集』(全4巻、岩波書店、2012-13年)がある。

∂著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

見田/宗介
1937年、東京生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。東京大学大学院総合文化研究科教授、共立女子大学家政学部教授を歴任。東京大学名誉教授。専門は、社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 

 

 

 

 

 

 

∂Lyn

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