∂水木サンの幸福論

水木しげる

 

    

 

 

∂読者レビューから引用

ゲゲゲの鬼太郎原作者の水木しげるさんの自伝、及び、幸福になる7か条が詰まった1冊である。

 第二次大戦で、激戦地ラバウルで戦い、片腕を失う重傷を負い、
 日本に帰ってきてもなかなか定職につけず、フラフラしながら、
 ようやく、マンガを描く生活に没頭しても貧困生活、
 結婚と子供の育児など、生活はますます厳しくなるばかり。

 傍から見る分には、なんとも惨めな生活だなあと思って
 しまうものなのだが、本人はいたって一生懸命で、深く悩んで
 しまうこともなく、かといって、無感覚なバカということでも
 決してない。必死で弾薬から逃げるさなかにも、どこかのんびり
 しているような、どこか自分を達観して見下ろしているような
 距離感があったりと、不器用な自分を十分に受け入れて、
 出来る範囲で、出来ることをしようという水木さんの考えが
 よくわかる一冊である。

 今の時代と正反対で、なんでもそこそこできる器用さが無い分、
 コツコツ続けることが出来たのかという思いと、辛いことも
 何かしら楽しみを見出してしまう水木さんのおかしさが
 見えてくる。

 それは、運命というものに抗う力のない、人間の限界を
 すばやく見極めていながら、折角の命なんだから、どんなときも
 楽しんでやれ、という、地獄みたさの好奇心なのかもしれない。

 水木サン 幸福の7か条
 1.成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
 2.しないではいられないことをし続けなさい。
 3.他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし。
 4.好きの力を信じる。
 5.才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
 6.なまけ者になりなさい。
 7.目に見えない世界を信じる。

 水木さんの幸福論には、無我夢中に没頭することの必要性が
 語られているように感じられる。ひたすらにマンガを描く。
 それ以外に出来ることもないし、表現の方法がない。ならば
 黙って続けるだけなのだという・・・。

 水木さんは、自分がたまたま成功したに過ぎず、
 いつ生活できなくなってもおかしくないと考えていた、
 というよりも、生活することにゴールを設定していないようでも
 ある。不器用な生き方であり、死に方なのかもしれない。
 そんなことができるのも、戦場で死を間近に感じたことが、
 長生きよりも、自分の楽しさを表現できる世界に打ち込むことが
 重要だと気付かせたのかもしれない。

 自分の作品に、自分が没頭できるからこそ、他人さまも引き付けられる
 だけの魅力が、鬼太郎達に命を吹き込んだのだろう。

 今の日本は、いい学校に入って、いい会社に入って、家族を持って
 年金もらって・・・という構成が、レールのようになっていて、
 誰もがそこから踏み外さないことに汲々としている、
 そして何人かは転げ落ちているような時代なだけに、
 オリジナリティで戦ってきた生き方というのは、参考になるという
 か、可能性や生き方の幅、社会の豊かさ、多様性といった意味でも
 価値のある人生だと思う。

 新しいビジネス書としての観点からも、メンタルを補強するための
 自己啓発としても、世に残る魅力的な作品を生み出す作家の自伝という
 意味からも一読して損はしない一冊である。

 

 

∂内容紹介

水木サンの幸福人生の秘密がここに集約!
平成16年に日本経済新聞社より刊行された『水木サンの幸福論』の文庫化。水木サンが幸福に生きるために実践している7か条や、水木サンの兄弟との鼎談など、水木しげるのすべてがわかる盛りだくさんの内容。

∂内容(「BOOK」データベースより)

「なまけ者になりなさい―」独特の言動で、出会う人を幸せな気分にさせる水木しげる翁が、「幸福の七カ条」をもとに、幸福になるための秘訣を伝授。自身の半生を語った「私の履歴書」では、境港での生活と太平洋戦争、戦後の赤貧時代など、波乱の人生を当時の貴重な写真とともに振り返る。特別付録に、兄と弟で語り合った鼎談と、境港での幼少時代を描いた「花町ケンカ大将」を収録。読む人を幸福にさせる人生論。

∂著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

水木/しげる
1922年(大正11年)生まれ、鳥取県境港育ち。幼児のころから不思議なこと、異なる世界に興味を抱いて育った。絵を描くことがなによりも好きで、少年時代は自作の童話集や絵巻物づくりに熱中していた。徴兵でラバウルに送られ、激戦地で左腕を失うも九死に一生を得て生還した。戦後は、生活のために数々の職業に就く。ふとした縁で紙芝居作家になり、以後、貸本漫画家を経て、「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」「悪魔くん」の大ヒットを飛ばし、人気漫画家として多忙な日々に追われる。紫綬褒章、旭日小綬章を受章し、日本の漫画界を代表する巨匠であるが、「なまけものになりなさい」や「少年よ、がんばるなかれ」など、そのユニークな言動に癒されるのか、近年は作品とともに水木しげる本人への人気も高まる。2007年フランスでフランス語版「のんのんばあとオレ」が日本人初のベストコミック賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)