∂雲と鉛筆

吉田篤弘

 

   

 

 

 

∂読者レビューから引用・加筆

今年になって、一番胸にピンと来た本。
鉛筆工場で働く「ぼく」の物語、と言うか「童話」と言って良いのかもしれません。
水道も通っていない屋根裏部屋で、小さな本を読み、鉛筆で雲を描く、そんな日常離れした生活です。
6Bから9Hまでの十七種類の鉛筆を使い、毎日微妙に異なる雲の絵を描きます。
これは、毎日の同じことの繰り返しの中でも少しづつ異なったところがあり、時には、繰り返しの中からこそ新たなことが始まると言う日常の象徴の様な気がする。
その日々の微妙な差を、十七種類の鉛筆で描いてゆく。
この本の中に、ジュットクと言う人物が登場します。
彼は、合理的で一つでいろんなことをしてしまう道具の営業です。
「ぼく」は、そんな合理的な考えに与しません。
そんなことより、日々の小さな幸せが大事です。
小さな本には、「大きなもの」が収められています。
人間の「考え」や「知識」や「思い」といった計り知れないものです。
しかし、「損得」ではありません。
本を読んだから得した損したと言うことは、考えなくていいことです。
作者は言っている。
「数字によって幸せになった人は、その先ずっとその数字に縛られる。数字を維持し、数字を守りつづけなければならない。」
簡単に読める本ですが、一つ一つを考えると、非常に深いものがあるように思う。

 

∂内容紹介

屋根裏の部屋に住み、鉛筆工場で働くぼく。大きなものが書かれた小さな本を読み、雲を眺め考える、人生で大切なこととは何か。

∂内容(「BOOK」データベースより)

ぼくは屋根裏部屋に住み、鉛筆工場で働いている。大きなことが書かれた小さな本を読み、遠い街に出かけて、友人とコーヒーを飲む。鉛筆を削って、雲を描き、姉に手紙を書いて、人生を考える。

∂著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

吉田/篤弘
1962年東京都生まれ。小説を執筆するかたわら、クラフト・エヴィング商會名義による著作と装幀の仕事を続けている。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)