∂絵を見る技術 秋田麻早子

 

   

∂この本では、「絵の主役はどこか」、「視点の誘導」、「バランスの見方」、「色彩(と絵具)」、「構図と比例」、「統一感」の6つの観点から絵を能動的に診る(見る)方法を教えてる。この方法を使うと、画家の技巧の能力がわかるだけでなく、製造過程における葛藤や迷いまで想像できるような気になってくる。さらに、本書は装丁と印刷が美しく、絵と図が満載でありながら統一感をもっており、まるで著者セレクトによる美術館のような書籍となっている。

 

∂内容紹介

同じ絵を見ても、プロと素人では、見ているところが違っていた!?
★予約殺到! 大人気のビジネスマン向けビジュアルリテラシー講座、待望の書籍化! 

・なぜ、この絵に惹きつけられるのだろう?
・この絵の主役はどこ?
・前情報なしに、どう見たらいいの?
・バランスや構図が良いとか悪いとか、みんな何を見て言っているの?

ちゃんと絵の中にヒントがあるんです。
センスがなくても、知識がなくても、目の前の絵画を「自分の目で見る」、
そして「良し悪しを判断する」ことは、できるんです。
謎を解くカギは、ぜんぶ絵の中にあります。

絵の研究は、「意味」と「形」の二本柱。
この本では、これまであまり触れられてこなかった、「造形」の面から歴史的名画を見ていきます。

描かれたモノを「見る」ためには、少し見方を訓練していないと気づかないものです。

ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ルーベンス、
ベラスケス、フェルメール、ゴッホ、セザンヌ――
超有名なあの名画、知られざるあの傑作、
どう見たらいいか迷う抽象絵画、20世紀を代表する写真まで――

どう見たらいいか、初めて分かるようになります。たくさんのカラー作品が練習問題。
はじめて見る絵でも、パズルを解くように絵を読み解いていく面白さ、
味わってみませんか?

「どういう絵に対しても使える本書で紹介した絵の見方は、
コンパスのような役割を果たしてくれるはず。
名画がどうして名画と呼ばれるのか。
今まで見ようとしなかった真実が、きっと見え始めるでしょう」――著者


――もくじ――――――――――――――――――――――――――――

■序 章 君は見ているけど、観察していないんだ、ワトソン君――ビジュアル・リテラシー
名画をちゃんと見られるようになりたい!
この本で見えるようになること

■第1章 この絵の主役はどこ?――フォーカルポイント
絵の主役、「フォーカルポイント」の探し方
集中と分散
新たな疑問――焦点が二つある絵?

■第2章 名画が人の目をとらえて放さないのはなぜか?──経路の探し方
名画は「角」を避けている――周回路
画面の両サイドにも危険が潜む――ジグザグ経路
大事なものから放たれる視線――放射型の経路
視線誘導の細かな工夫

■第3章「この絵はバランスがいい」ってどういうこと?――バランスの見方
線のバランス――リニア・スキームで見る
バランスは名画の絶対条件――左右対称の絵
ラファエロを乗り越えて――左右非対称の絵

■第4章 なぜ、その色なのか?──絵具と色の秘密
絵画は「物質」でできている
カラー・スキームを見よう!

■第5章 名画の裏に構造あり──構図と比例
右は左より格上?――位置が明かす力関係
名画に隠された十字線と対角線
注目すべきは?と?と?――等分割パターン
等分割以外のマスター・パターン――正方形・直交・黄金比
長方形の中の正方形――ラバットメント・パターン
ラファエロ『アテネの学堂』――四等分に隠された深い意味
*ルート矩形について

■第6章 だから、名画は名画なんです
絵の表面的な特徴が統一感を生む
『ウルビーノのヴィーナス』の秘密
総合的に分析してみよう――ルーベンス『キリスト降下』
自由な感想と客観的な分析

∂著者について

秋田麻早子(あきた・まさこ)

美術史研究家。岡山県岡山市生まれ。2002年テキサス大学オースティン校美術史学科修士課程終了(MA)。
専攻はメソポタミア美術で、トークン研究で知られるシュマント゠ベッセラに師事。
2009年より「絵の見方は教えられるか?」というテーマに取り掛かり、2015年からビジネスパーソンの学習の場・麹町アカデミアで「絵を見る技術を学ぼう! 」を不定期で開催。
名画を自分の目で見る方法を広めることで、人々が自分の言葉で芸術や美について語れる世の中にするのが目標。